「雨のかんずめ」が、街のスーベニール・ショップで売られているほどの雨の街ベルゲン。ここは年に200日以上が雨の日だという。ノルウェーの南西部に位置するベルゲンは、首都オスロから西へ約300キロ、青く深く冷たく澄んだフィヨルドの、ゲートウエイと呼ばれる海に臨した都市です。村上春樹も小説のモチーフにしたビートルズの曲「ノルウェーの森」は、雨の予感に満ちています。雨は森を潤し、土の養分を含んだ水は流れて、そのまま海を豊かにします。北海とノルウェー海の接するベルゲンの海は、メキシコ暖流が流れ込むまさに最高の環境に恵まれた魚類の宝庫。そこでノルウェー・サーモントラウトは生まれ育ちました。
 

illustration=太田泉 
 最近ではノルウェーサーモンの名が生活の場で聞かれるようになりましたが、これは一般にはアトランティック・サーモンと呼ばれているもの。これに対してサーモントラウトは、1932年ワシントン州立大学のドナルドソン教授が、ニジマスの品種改良を始めたところに端を発します。それから70年、ドナルドソン・トラウトはノルウェーの海でさらに磨きをかけられ開発された、いわば「サーモンのサラブレッド」、それがサーモントラウトなのです。

 他のサーモンと比べてもおいしくて栄養豊か、たとえばビタミンDは4倍以上の32.9mg(100g中)、脂肪含有量が15%に対して、サーモントラウトは20〜22%と上回ります。ミートカラーも赤味が濃く美しい。こうした隠れた数値が、ノルウェー・サーモントラウトのおいしさの理由であり、人気の高まる原因にもなっているのです。

 豊かできれいなベルゲンの海は魚たちがストレスを感じない、極めて良質のファーム(養殖場)ですが、さらには赤ワインに多く含まれていることで噂になった、ポリフェノールを餌として与えることで、サーモントラウトは生き生きと成長します。規制の厳しいノルウェーでは、餌に抗生物質を加えることなどは禁止されており、徹底した品質環境管理のもとで育てますので、日本の名牛・名豚を産み出すシステムと共通しているといえます。

 中島水産は現在、ショトロール社と共同開発の提携をして、生サーモントラウト500トン(シェア独占)、冷凍サーモントラウト3000トン(日本での輸入量の10%)を年間を通じて、日本全国に送り出しています。21世紀の安定した豊かな食生活の提供と、ヘルシーでおいしい食材の提供は中島水産の目標であり、まさに奇跡の魚ノルウェー・サーモントラウトは、そのシンボルでもあるのです。

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