活魚・天ぷら「増重」 料理長 島 正美さん

 富山県魚津の寒ブリは12月が最もよく捕れ食され、1月中旬にはシーズンが終わります。なぜ、富山の寒ブリがおいしいかというと、ちょうどブリに脂がのって美味しい時に、能登半島にぶつかって富山湾をブリが通るからだそうです。むかし、娘が嫁に行くとお歳暮に実家から嫁ぎ先に寒ブリを1匹贈り、嫁ぎ先は嫁の実家にそのブリの半身をおろして返すという習慣があったということです。今ではもうあまりポピュラーではないようですが、それほど富山の生活に寒ブリは密着していたのですね。
 今回は、富山県魚津にある「増重」さんの寒ブリ料理をご紹介させていただきます。メニューは、一番人気の「刺身」「ブリの照り焼き」、富山の味覚といわれる「ブリ大根」、さっぱりして美味しい「ブリなま酢」です。ご紹介しきれない美味しいお料理がいっぱい。カウンターには、ブリのかま焼きを注文され豪快に食べているお客様もいらっしゃいました。午後7時にはお店は満席。とても、活気に満ちたお店です。

●お刺身

素材がいのちの刺身。おいしい富山の寒ブリを味わうならやはり是非食べていただきたい1品。脂がのっていて「おいしい」の一言です。富山ではブリの刺身をやや厚めに切るそうです。(編)

●ブリなま酢

ブリは皮をとらずにさく取りして両面に塩をふり、2時間位おいたら塩をフキンでとり、酢と水を合わせたものにつける(旨味調味料を少し入れる)。分量はすぐに食べるなら酢を多めに3時間後くらいにいただくなら酢1:水1の割合。茹でた葱を盛りつけて、からしを酢みそに混ぜたものをかけます。

●ブリの照り焼き

醤油に多めのみりんを入れたものにブリの切り身を2時間位つけます。あまりつけすぎると身が固くなりますので、注意してください。つけ汁をハケで塗りながらだいたい12〜13分くらい焼きます。みりんを多くすることで、照りがよくなりますが、家庭では焦げやすくなるので注意が必要。

●ブリ大根

ブリを切ったら湯通しし、水で流して血をとる。酒と水の中に入れ3時間位煮ます。大根は厚めに輪切りにして、米ぬかを入れた水で茹でます。ブリの煮えたものを再度、みりん、砂糖、醤油、旨味調味料を入れ味付けし煮ます。味が整ったところで、茹でた大根をよく水で洗って水をきり合わせ入れます。100度くらいの温度に上がるまで煮て火を止めます。これは大根が柔らかくなりすぎないように味を染み込ませるためです。また次の日あたため、冷まし、お客様に出すときにまたあたためます。

活魚・天ぷら
「増重」


富山県魚津市駅前新町9-25
phone0765-24-1286
JR北陸本線「魚津駅」徒歩4分

photo=菊池陽一郎
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