TBS系クイズ番組「世界ふしぎ発見!」でミステリハンターとして、
世界80ヶ国を取材してきた竹内さん。
彼女が見て来た国、人、そして魚とは‥‥?


海の恵みを充分に享受して生きている民族じゃないかな

 こんなも色々な種類の海産物を食べる民族って日本人くらいじゃないかしら、と感じています。今、アメリカでもお寿司ブームですけど、もともとお魚料理といったらヒラメのムニエルや、イギリスのタラを使ったフィッシュ・アンド・チップスでしょ。でも、日本だと生で食べ、天ぷらで食べ、焼くにしても干物にしたり粕漬けにしたりみそ漬けにしたり。あとは、塩辛にしたり内臓も食べちゃうし。日本の魚文化って凄いですよね。一匹のお魚でも色んな食べ方にするなんて、とても熱心だと思います。    
 魚の種類も、光モノから白身から赤身からゼラチン系から、そしてタコからイカからと、本当に多様に海産物を食べていますよね。これって、海の恵みをとても楽しんで生きている民族じゃないかなって思います。
 今まで食べた中で、珍しかったお魚は、ピラニアかな。ピラニアは、白身のお魚。でも、寄生虫が多いので、生では絶対食べられません。私は、キャンプでインディオの人たちにピラニアの焼いたものをいただいたから、ほぐしてカレーの中に入れちゃいました。ピラニアカレー(笑)。ただ、気をつけなきゃいけないのは、ピラニアの骨っていうのは、矢印(→)の形をしているの。だから、入るのはいいけど、抜けない。矢印の方向で、喉に入って刺さったものを抜こうとすると、引っかかってしまう。だから、本当に小さな小骨まで取り除いてからいただかないと、危ないんですよ。骨まで凶暴な魚です(笑)。でも、味は白身のお魚で淡泊でした。インディオの人達は、食べるようですけど、珍味ですね。

 今回は、お正月特集なんですよね。結局、おせち料理は、主婦も三が日ゆっくりできるようにっていう保存食ですよね。酢の物にしたり、ちょっとからめに煮たり。それは、日持ちするような味付け。あとは、体に良い物や「数の子は、子宝に恵まれる」というように縁起を担いだものを入れたり。
 昔はしっかり一週間市場も閉めて休んでいたから、非常食兼保存食の意味合いも深かったんでしょうけれど、今はもう、2日から初売りをしているし、コンビニがあるからその意味合いは薄れてきました。例えば、年末の「店終いの30日以降、3日までは何も食材は買えません」ってなると、いっぱいお料理を作って、家族で過ごすっていう楽しみってあるじゃない。おせちのありがたみが薄れていますね。でも、あった方がいい。元旦は、やっぱりおせち食べたいです。だから、今年のおせちをどう作るかっていう逆発想のほうが楽しいかもしれませんね。保存などを考えるより、「年に一回のおせちをどう食べるか」っていう。前の日にもお店は開いてその日に食べきると思えば、生ものでも出せるし。新しいおせちの形を考えてもいいかも知れない。お正月らしい、その家庭らしい贅沢なお料理を、お重でもいいし、大皿でも良いから盛りつけて。そうやってアレンジしていくと、楽しそう(笑)。
 暮れから準備に忙しいお母さんの作ってくれたおせち料理には、例えば、伊達巻きが綺麗にまけたかしら、とか、今年はお豆は美味しく煮えたかしらっていう愛情と情熱が詰まっていますよね。作り手にとっても一年の始まりだから、味とできばえも気になるし、ワンチャンス!ですから。そうやって、毎年作られるお母さんのおせち料理と、若い人達の楽しいアイデアいっぱいの創作料理を一つの食卓に並べて家族みんなで囲む。「美味しい」で始まる一年は、みんなが幸せですから。


たけうちかなえ◎TBS「世界ふしぎ発見!」のミステリー・ハンターとして15年、世界80カ国をレポート。現在も一年の半分近くは、海外取材を続けている。小説「アフリカの女」「うたかたの月」(幻冬舎)や、今まで撮りためた世界各地の写真と散文で構成される「グリオの唄」(ブルース・インターアクションズ)を出版。
公式HP:かなな共和国 http://www.kanana.com/

photo=菊池陽一郎
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