中島水産株式会社社長 中島明

 ここ十年ほどの魚食の変化について、少しお話をします。明らかに、「生食化」がはっきりとした傾向として表れています。要するに、寿司や刺身で食べる機会が増えたということです。
 多分、主婦の生活様式が大きく変化してきたことが原因と思われます。調理をはじめとする家事全般に費やす時間が大きく減少しております。当社の売上の中身を見ても、手をかけずに食卓に乗せることが出来る「寿司・刺身」の構成が明らかに上がっています。また、刺身の中でも、「さく」と言って、食べ易く切る前の状態の物が減り、「お造り」と言って、手をかけずにそのまま食卓に載る商品の構成が大きくなっております。
 そのような魚食の変化を理解したなかで、お客さまの要望に応えるような商品を提供することが当社の使命ですが、忘れかけている商品を新たな形態で提供することもまた、当社の使命だと考えております。例えば、「干物」です。安さだけで魅力の乏しい商品が主流になってしまい、どんどん消費量が減っている商品ですが、私どもは鮮度のいい状態で、そして素晴らしい塩加減で、提供が出来れば、きっとご満足いただけるものと確信しております。提供方法の工夫によって、再確認していただける商品はいくらでもあると思います。当社は、新しい流れを創造するだけでなく、美味しいさかなの再発見のお手伝いも心掛けております。

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