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大学時代の親友、高木さんは福岡の人。地元の魚介の話は、本当においしそうでした。ある時居酒屋で出てきたイカ刺しをありたがっている私を「イカ刺しなんか福岡じゃ、刺身のツマだね」とイヤな感じでせせら笑うのです。 いばっている高木さんを何とか凹ませたい。そこで、魚ヒエラルキーの頂点、鯛を出してみた。「でも、鯛はいつも食べられるわけではないでしょ?」それに対し、「いいや、食べてる。町営の魚食べ処で、ドライブがてらに何気なく」ですって。 <町営><魚食べ処>という、全くもってデイリー感溢れる言葉と鯛。これはどうなっているんでしょう。じゃあ連れて行ってもらいましょう! 金印出土で知られる志賀島の、海の中道という砂 州になっている景色の良いところを走り目的地につきました。
あぁ本当だった、よかとこ九州…。などとぼさっとしていましたが、テキパキ食べ進む友人らに目を覚まさせられ参加。ちょっと甘めのごま醤油で食べるのもおいしかったなぁ。 食べ終わった鯛は、汁になって再登場するため一旦下げられました。 その間に出た新鮮な鯛の話はこれ。 高木さんの母上が、地元議員の集まりで鯛の活け造りが出た時、スピーチがつまらなくて、鯛の口の中に指を出し入れして遊んでいた。その時、鯛が急にパチンと口を閉じて指をかまれちゃった!鋭い歯はたいそう痛く、指を抜こうと手を振ったら…ブーン!指をはさんだまま鯛はおおきく放射線を描き、周囲に飛び散るお造りよ…。鯛は魚の王者。そして、リラックスして自らその鯛を語る、高木さんちの母上も実に眩しくかっこよくまた王者なり。 |
illustration=Yamada Utako |
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