中島水産株式会社 卸営業本部執行役員 副本部長

日本の近海魚の今
 日本の近海魚は、毎年7〜8%ずつ漁獲量が減ってきています。となると、輸入を増やすか、養殖魚を増やすかという二者択一が迫られているといっても過言ではありません。また、世界の魚需要は、狂牛病や一連のお寿司人気により、ヨーロッパ、中国、アメリカと増加しています。魚の輸入の際に、より買い求めやすい値段を希望する日本には、これから魚が入ってこないのではないかという現実が、目の前にきています。そういった中では養殖魚の事業は、大変重要性が増すと考えています。

本当は美味しい!?養殖魚
 国内の養殖魚の数量は横ばいですが、養殖魚に対する評価はどうでしょうか。まずは三枚おろしや切り身にさばき売る状態にすると、色が変わりやすいということ。空気や光の影響で色が退色し変質が早いのです。次に、食べたときに身締まりがないこと。そして、何を食べても同じ味に感じられる、などが共通のイメージとしてあるのが事実です。これら一つ一つを改善したら、より美味しい魚をご提供できるのではないかと考えました。

餌への取組みとこだわり
 例えば、マグロやブリ、ハマチなどは、おろして3〜4時間位で黒く変色してしまいます。おろしてすぐに売れてしまえば良いけれど、時々売り場に、真っ黒な品が残る状態になります。そこで養殖の魚の飼料に、鮮度の良い素材と鮮度劣化を防ぐ食品に含まれる天然素材を数種選び組み合わせるなど工夫しており、健康にとても良いというものです。これにより、実際に身の締まりも含めて、身の色などで良い変化がありました。おかげさまで奄美の本マグロに関しては半年で三〇〇〇本、八〇tまで販売できるようになりました。

まもなく完成!真鯛とブリ
 次のプロジェクトとして、マダイやブリを進めています。今までの経験で言いますと、4ヶ月で良質の餌の効果が現れてきます。ブリに関しては、餌の改良を6月から行っていますから、10月には良い商品が完成し展開できると思います。日々検証しながら取り組んでいますので、みなさん楽しみにしていて下さい。

取材協力:真鯛の養殖場「マルセイ水産」

養殖のお話(1) 養殖のお話(2) 鯛のお話

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