漁の風景。仕掛けた網をたぐり寄せる。


青く輝くホタルイカからは目が離せません


コンテナ一箱で6000匹のホタルイカ。

 3月1日は、富山湾のホタルイカ漁解禁日。地元ではこの日を心待ちにしています。春の訪れを告げる漁ですが、明け方の作業はとても厳しい仕事です。
 ホタルイカは、通常水深200〜600mの深海に生息していますが、3〜6月の産卵期になると、夜から早朝にかけて群をなして浮上してきます。その、卵がいっぱいつまったホタルイカを仕掛けておいた網で捕まえるのが、ホタルイカ漁です。明け方4時25分。寒い中、ドラム缶の炎で寒さをしのぐ漁師達の船は、勢いよく沖へ向かいます。10分位で、網場に到着。船は、二艘で向かい、20人ほどで仕掛けておいた網をたぐり寄せます。その間、網にあたったホタルイカは、強く幻想的な紺碧色の輝きを放ち続けます。網をたぐりよせてホタルイカを一カ所に集めたら、あとは一気に船に引き込み、港へ戻ります。5時前には漁は終了するくらい迅速な仕事ぶりでした。
 自ら発光体をもつホタルイカですが、「なぜ光り輝くのか?」の問いについては、外敵への威嚇やお互いのコミュニケーションなど諸説ありますが、未だ解明されていません。まさに神秘の輝きなのです。

JF魚津 魚津漁業協同組合 「魚津おさかなランド」
富山湾で捕れた魚は、「おさかなランド」に集まります。これは、JF魚津・魚津漁業協同組合が今年の1月に完成した水産物荷さばき施設です。施設内での衛生管理は徹底されています。とても活気があり、富山の台所と呼べる市場です。




ホタルイカをザルへ入れ、塩水でゆでる。


桜色のホタルイカ。平らにし、荒熱をとる。


一つ一つ目玉をとり除く。
作業は丁寧で早い。


 富山湾の魚を使用する加工工場(有)浜浦水産を訪れました。こちらでは、年間を通して様々な商品を展開しております。今回は、ホタルイカの釜揚げの出荷作業です。
 朝7時にはすでに、朝靄のような蒸気に覆われ、工場内は活気に溢れていました。ホタルイカの釜揚げは、新鮮なホタルイカを塩水でゆで上げたもの。地元では、桜煮と呼ばれている様に、ほんのりピンクの桜色に仕上がった釜揚げは、ふっくらしていて、甘みもあり、とっても濃厚です。これは、産卵の為に、海上にあがってきたホタルイカだからこそのお味です。
 こちらでは、中島水産(株)むけとして、一つ一つ人の手で、硬い目玉をとり除く作業を行っています。口当たりが良く食べやすくなり、お料理の幅も広がります。この美味しさは全国へお届けいたします。

社長の浜浦昭夫さんのお話
毎年この時期がくるのがとっても楽しみです。今年のホタルイカはこぶりですから、大漁ですよ(笑)。ホタルイカの男女比は、オス一匹に対してメスが一万匹。それくらい、オスには精力があるんです。ふっくらしている方がメスで、卵がいっぱい詰まっているから美味しいですよ。
 ホタルイカは、体全体に発光体があるので、体中光っています。水が良ければ見えるかな。
「ホタルイカの素干し」。
ライターであぶって召し上がれ。



ホタルイカのしゃぶしゃぶ。竜宮ソーメン、お刺身、酢みそあえ、塩辛、沖漬け、
昆布〆。一つの素材から美味しさ色々。



ホタルイカのお寿司盛合わせ


富山県魚津市文化町6-4 TEL:0765-22-5839
「寿司栄」店主 岡本茂雄さん

 富山では、3月1日がホタルイカ漁の解禁日です。今年のホタルイカは、順調な仕上がりです。ホタルイカのお味は、始めのころがあっさりとしていて一番良いですよ。
 この「しゃぶしゃぶ」は素材に火が通って、ほんのり膨らんだときに、酢みそだれかごまだれを付けて召し上がっていただきます。ホタルイカの甘みとタレの味は、とっても合います。最近新しく始めたのは「ホタルイカの昆布〆」。これは、朝押したものを晩に食べるといい塩梅です。また、「竜宮そうめん」はショウガとねぎを入れたそうめんのお出しで、さっぱりと召し上がっていただきます。足だけを使う贅沢な一品。あとはこの「沖漬け」ですが、漁師さんに頼んで、捕れたてのホタルイカをその場で特製のタレに入れてもらいます。生きたホタルイカはそのタレを吸い込み体内に浸透し、イカ自身が持っているうま味はタレにとけ出すので、しっとりした濃厚なお味になります。
 お寿司も人気がありまして、塩辛と生のホタルイカは軍艦に、釜揚げしたホタルイカは押し寿司にしました。あさつきとの相性が良いので、寿司飯の中に加えています。富山湾のホタルイカは最高ですので、是非、ご賞味下さい。

photo: 荒川健一
Copyright (C) 2004 NAKAJIMASUISAN Co., Ltd.