当社は鮨だけで、年間六十億円を超える売上を上げております。鮮魚売場に鮨売場を併設し、新しい販売方法を確立したのは紛れもなく当社です。昭和六十三年に川崎駅ビルの店で、鮨ロボットを活用して鮨を作りバイキング形式で販売したのが始まりです。「さかなやの鮨」を定着させるまでにはいろいろな苦労がありましたが、一番気を使ったのは、シャリの問題です。
 鮨をあらかじめ作って、冷蔵ケースの中に陳列をするわけです。ネタの鮮度を維持するために、シャリを冷やさなければなりません。シャリを冷やすことによって、シャリが硬くなります。その変質を最小限に抑えなければなりません。そのため、当社では「岡山 朝日米」を全店で使用しております。高品質で、持ち帰り鮨としては大変高価なお米ですが、品質を優先するために使用しております。
 「合わせ酢」も同様に当社独自の仕様で作っております。しかし、地方によって配合は異なります。関東、関西、中京の順で、味つけを甘くしています。各地方にはそれぞれの鮨文化があり、それを無視して、関東風を押し付けるわけには行きません。新しい地域に出店する際には綿密な調査を行い、その結果から、その地域に応じた配合を決定しております。当社の鮨がそれぞれの地域で大変高い評価をいただいているのは、こうした工夫の積み重ねの結果と思います。
 海外四ヵ店でも同様です。輸入制限等があり、同じ米を使うことが出来ません。それぞれの米の質と現地の方の嗜好に応じ「合わせ酢」についても、国毎の配合を決めております。今年の一月に出店したマレーシア三号店でも、開店日にはラップ鮨が1万個を超える販売を記録しました。これからもいろいろと工夫を重ね鮨文化の発展に貢献して行きたいと思っています。


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