この4月から卸売市場、店頭での小売とも、水産物の取扱額が大幅に落ち込んでいます。その要因としては当初は、消費税の総額表示の影響による一過性のものとの判断をしていましたが、どうも実態は違っているようです。消費税の総額表示で、本来の支払額はほとんど変わらないのですが、消費者の皆さんは、感覚的に値上がりしたと受け止められ、それが契機となって素材離れが加速したのではないかと思われるからです。
 実はそうした素材離れの兆候は3年ほど前からありました。

「さく」から「お造り」へ

 たとえば、刺身の売れ筋が、「さく」といって自宅へ持ち帰って切る形体のものから、「お造り」という既に切ってありそのまま食卓に乗る形体のものに徐々にシフトしてきております。
 従来素材から料理していたものが、簡単に調理出来るものや、あるいはそのまま食卓に乗せることの出来る総菜中心の食事に変わってきたことが、その背景にあると思います。

時間の使い方の変化

 つまり食事を作る時間が短縮され、それにより空いた時間を趣味や習い事、またインターネットや友人との談話等に費やすなど、ライフスタイルの変化により時間の使い方が変化してきたのです。そして、今回、消費税の総額表示という目に見える新たな動きを契機として、一挙に素材離れが表面化してきたのでないかということです。

おさかなクラブ

 素材提供業である当社は、こうした変化に真正面から立ち向かい、おさかなの提供の方法に工夫を凝らしてまいります。「お造り」の少量多品種の品揃えを強化し、質の高い、いろいろな種類の刺身を召し上がっていただけるようにします。また、加熱するだけで、美味しく召し上がれるような味付け素材の提供を研究してまいります。そのため現在、実験的に導入しております「おさかなクラブ」という、おさかなの料理の仕方をお知らせする端末機の設置店舗の拡大も検討してまいります。

 当社では、時間の余りない方々にも、このように美味しいおさかな料理を召し上がっていただくための工夫や努力を継続して行うと共に、更に鮮度・品質に優れたおさかなをお届けできるよう産地の開拓を進めてまいります。ご期待ください。

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