その昔から石炭やパルプの町として有名だった北海道釧路市。現在は水産業が盛んで、その水揚量は全国でも随一を誇っています。漁獲される多数の魚種から、特に力を注いでいるのがサンマ。「サンマといえば釧路」と全国に轟かせるべく、町ぐるみでの呼びかけが活発に行われています。
 道内でもサンマを特産物として扱う土地は多くありますが、その中でも釧路のサンマの特色は第一に「鮮度」にあります。鮮度を保持するための細部にわたるケアや、土地の利を生かした流通手段などで、他との差別化を図ってきました。
 そしてその目玉となるべく誕生したのが、釧路のブランド魚「青刀(セイトウ)」。脂がのりきって身の引き締まった、1年で一番サンマが美味しい8月下旬〜10月上旬に揚がったサンマの中から、更に鮮度や形が吟味され、厳選されたサンマが「青刀」として認可されます。その一点の歪みのないフォルムと、青く光り輝く様はまさに”青い刀“そのもの。その魚体からも抜群の鮮度の良さがうかがえます。
鋭角的でありながら美しい曲線を描くフォルムがまさに釧路のブランド魚「青刀」。鮮度や形が吟味された極上の逸品。その輝きと形の良さは、他のものとは圧倒的な差があります。


北海道の空が白みだすのは3時過ぎ。水揚げ漁船の到着と同時に、港に群がるカモメも移動! 午前4時前。獲れたてのサンマが漁船から次々と水揚げされます。

まさに、あ・うんの呼吸の、すばらしいチームワークで、次々にサンマが漁槽へと入れられます。 この漁槽の全てがサンマという漁獲スケールの大きさ! 壮大でありながら流涎の光景。



一網打尽!棒受網の威力。
 サンマは日本海側、太平洋側ともに春から夏にかけて餌を求めて北上します。餌になる小型の甲殻類やオキアミは寒流と暖流の潮境に集まるので、サンマも潮境とともに移動します。
国内で漁獲されるサンマのほとんどが「棒受網」によるもので、これはサンマが夜間に光りに集まる習性を利用したもので、船の両側に設置した誘導灯の強い光線でサンマを集め、そこを網で一網打尽にしてしまうという、サンマ漁にはかかせない漁法なのです。


魚のおいしさは、鮮度が命。滅菌された塩水と氷につけることでセリの時間まで鮮度を維持します。 午前7時。ベルの合図とともにセリがスタート。

威勢の良い声が四方から飛び交います。 少しでも目に付く傷や形の悪いサンマは、鮮度が良くても「青刀」として認可されないそうです。




セリも午前8時を過ぎると終盤にさしかかり、いよいよ出荷の運びとなります。状態の良いものからランクが付けられ、それらの情報はデータ入力処理され、全国に発送されます。首都圏だと水揚げされてから、なんと24時間以内に必ず各店頭に並ぶという優れた流通網にも、釧路のサンマの「鮮度の良さ」が裏付けられています。「お客様のお手元に届くまで、責任を持つ」をモットーに、管理作業にも余念がありません。
「青刀」の称号を得たサンマだけに、この輝かしいシールがケースに貼られます。


釧路は秋を迎え活気づいています!。
 釧路のサンマの一番のウリはやはり「鮮度」の良さです。鮮度を保持するための作業は、細部にわたって徹底的に管理し、末端まで責任を全うするのは釧路だけと自負しています。
おかげさまで釧路のブランド魚「青刀」も数年前から全国的に反響を呼んでおります。これからも「釧路といえばサンマ」「サンマを食べに釧路に行こう」と言っていただけるように、町全体で取り組んでおり、観光客の誘導や町の活性化に繋がればと思っています。9月4日には毎年恒例の「おさかなまつり」があり、道外から来られる方も多いようで、釧路の港は秋を迎えますます活気づいています!
また、釧路のサンマは、焼いて食べるのはもちろん美味しいですが、是非一度、刺身で食べてみて下さい。「大トロの刺身より旨い」と言ってくださる方もいるほどです。ちなみに醤油と一味で食べるのが釧路流です。



サンマのたくあん和え
彩り鮮やかで視覚にもおいしい。隠し味はワインビネガー。
サンマと大根の甘酢漬
夏バテに最高。適度な酸味と大葉がサンマに合います。
サンマのピリ辛ソースかけ
青南蛮が入ったタレがポイント。サンマの唐揚げをサラダ風で。
サンマと昆布の含め煮
捕れたてのサンマだからこそ、骨まで食べられる!

現在53人が所属するという釧路市漁業協同組合女性部は、部長の南政子さん(写真中央)を筆頭にチャーミングな方たちばかり。月に2〜3回料理教室を開いたり、旬のおさかなを使ってメニューを考案したり、なにかと大忙しの日々です。
 今回は捕れたてのサンマを使った選りすぐりのオリジナルメニュー4品をご用意していただきました。みなさん漁師さんの奥様とあって、おいしいおさかなの食べ方を心得ています。そんな彼女たち曰わく「サンマはシンプルな食べ方が一番!」だそうです。


photo: 菊池陽一郎
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