三重県南東に位置する南伊勢町は、 暖かく清澄な黒潮の影響を受ける熊野灘に面しており、水揚げ高が県下一を誇る漁港。 まき網漁を中心とした遠洋・近海漁業で賑わう一方、水がきれいなため、真珠をはじめとして、 はまちやまぐろなどの養殖も盛んです。 今回は、ここ奈屋浦で育てられたまぐろが私たちの食卓に並ぶまでを追いかけてきました。
 
 
 刺身、寿司、づけ丼…、食べ方は十人十色。 世界で捕獲される約3分の1は日本人が食べていると 言われるほどのまぐろ消費大国ニッポンで、 良質のものを1年中私たちの食卓に届けられるようにと、がんばっている人々がいます。
 天然の味に引けを取らない、おいしいまぐろを育む 南伊勢の奈屋浦に、その秘密を探りに行ってきました。


生け簀の外側に停泊し、作業を行います。


泳ぐ姿は勇ましく美しい。通常まぐろは左回りで回遊。


えさを撒き始めた途端にまぐろが水面下に集まってきます。


 伊勢志摩国立公園の奥座敷とも言われるほど、リアス式海岸の織りなす風景が美しい南伊勢町。新鮮な魚介が水揚げされる一方、水のきれいなことから、さまざまな魚種の養殖が盛んです。5年ほど前より、この「奈屋浦」と呼ばれる美しい湾内で“みえまぐろ”は育まれてきました。種は最高級とされる本まぐろ。海上に並ぶ、50m四方、深さ15mほどの4つの生け簀に、それぞれ、1年魚、2年魚、3年魚と分けて放たれています。天然のまぐろ釣りで培った経験から、まぐろの習性を考慮してつくった形だとか。  熊野灘沖で捕獲された300gほどの稚魚が、ここで丁寧に育てられ、3年経つ頃には約50kgに成長。肉厚で高品質のまぐろとして出荷される流れを見て行きましょう。

港から船で約10分、2 kmほど離れたところに生け簀があります。1日2回のえさやりも捕獲も外側から行うしくみで、まずは朝食タイムから。えさは、質のよいまぐろに育てるために特殊な栄養素が含まれたもの。主原料はさばやいわしなどですが、ここに質向上への秘密が隠されています。
 捕獲の時は、贅沢にほとんど生魚を使用。もともとあじやさばを主に扱っている水産会社が手がけているため、実現可能なゆえんです。まんべんなくえさが撒かれると、いよいよ漁の開始となります。
   
撮影=菊池陽一郎
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