中島水産株式会社社長 中島明  
 世界中で日本食ブームが起こっています。「日本食イコール健康」と認識され、各国の文化人の間には日本食を食べていなければ、文化人として認識されないような雰囲気があるようです。日本食が世界中で素晴らしい評価を受けることは喜ばしいことですが、先般発表された「海外における日本食レストランの認証制度」の導入については、いかがなものかと思います。
 当社は、シンガポール・マレーシア・台湾・香港の4ケ国で、寿司と刺身を中心としたショップを30ケ店近く運営をしており、それぞれの国々の人達から大変高い評価を受けております。しかし、販売する商品全てが日本と同じ商品かというとそうではありません。特に、イスラム中心のマレーシアでは、調理をする店の担当者も宗教上の問題で、生魚を食べません。生魚を使わない寿司でも、大変よく売れています。生珍味や熱加工をした商品をトッピングにして、ご飯の上に乗せれば、立派な寿司です。
 日本国内でも、シャリの味付けは地域によって異なっています。江戸前以外にも、様々な寿司が存在します。テレビで放映していましたが、日本のイタリア料理は本場とはだいぶ違うようです。中華料理も世界中にいろいろとアレンジをされたものがあります。料理は、各国で生まれるのですが、それが他国へ輸出されると、その国民の舌に合うように修正されていき、そして定着していくものです。日本でも、関東と京都の味付けは異なっており、どの味付けを日本料理と認定するのでしょうか?
 当社は、ご飯の上に、その国の人々の舌に適したトッピングを乗せた寿司の販売をアジア各国で展開してきました。トッピングは、魚由来と野菜由来に限定し、肉や乳製品由来のトッピングは使わないようにしております。合わせ酢の調合も、各国で微妙に変えております。このような工夫をしながら、アジアに寿司文化を広めております。当然ですが、各国で評価をいただけるには、価格が高くては駄目で、一般のお客様にお召し上がりいただける価格で提供することが前提であると考え、マレーシアでは、一人前200円から提供しております。
 前述の国々で当社の寿司をお見かけしましたら、一度お試しください。日本人が見ても、立派な寿司として評価いただけるものと確信しております。自分たちの基準を押し付けるのではなく、色々と工夫させるからこそ海外で評価をいただけるものと思っております。これからも、海外における寿司文化の発展に貢献をしていきたいと思っております。

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