ごだいなつこ◎1961年12月18日生。 東京都出身。A型。1987年「戻り川」でデビュー。「第21回全日本有線放送大賞」「第21回日本有線大賞」で最優秀新人賞を同時受賞するという初の快挙を達成。1999年には俳優でもあり歌手でもある杉良太郎氏と結婚。「忍ぶ雨」「恋挽歌」「雪中花」「鳴門海峡」「金木犀」など数々のヒット曲を持ち、現在23枚目のシングル「舟」を発売中。 http://www.voicemusic.co.jp/natsuko/
 私の実家は魚屋さんだったんです。しょっちゅうまぐろのお刺身が食卓に並んでいて、おさかなはお漬物のような感覚でした。父はクリスマスパーティーなどいわゆる西洋のイベントが嫌いで、当然してもらったことないですし、もちろん食事は完全な和食党。だから子どもの頃はすごく洋食に憧れていましたね。母に向かって「またさかな?!もういやだー」と文句ばかり。おさかな好きの人には「贅沢!」って言われそうだけど。でも、自分が主婦になってはじめて、共働きの母の大変さをしみじみと感じました。無理ばかり言ってたなって。
 大人になってもおさかなはよく食べています。鮭は常備していて、例えば外で会食をして帰ってきて、なんとなくお腹がすいたなというときは鮭茶漬けにして食べたりします。わが家は1匹まるごとで買いますからね。もちろん父に捌いてもらって。鮭の中でも「ますのすけ」は最高に美味しいんですよ! キングサーモンと同種なんですが、幻って言われていて本当に絶品。でも某料理番組の「ますのすけVSホッケ」対決では、ますのすけが負けちゃって、杉さんがテレビに向かって怒ってました(笑)。
 お刺身も好きですね。おさかなはアミノ酸が出て旨味が増すと思うので、私は釣りたてより少しおいた方が好み。「新鮮=美味しい」ではなくて、変な言い方ですが、腐りかけというか腐る直前が一番美味だと。でも杉さんはあまり生臭いのが好きではないんですね。だから、まぐろだったら柵で買ってきて、食べる直前までサラシで包んで臭味を取って、旨味も出して食卓に出します。専門家に聞いていろいろと試したんだけどこの方法が一番でした。とにかく好きなことには凝る方なので、とことんこだわります。手間とは思わないし、そういう手間なら惜しみません。夕食もそう。わが家は時間が決まっているので、杉さんが帰ってくるまでにキチッと下ごしらえをすませ、「ただいま」が聞こえたら、一斉に着火。温かいものは温かいまま出します。だから杉さんは少しでも遅くなりそうだったら帰るコールをしてくれますね。私がこうやって料理するってわかってるから。でもだいたい一緒に作って、一緒に食べて、一緒に片づけをして、おままごとみたいですよ(笑)。
 とにかく美味しく食べたい、ただそれだけ。視覚的にも味覚的にもね。魚屋の娘だったおかげで、おさかなの目利きには自信がありますが、先日地方で、見るからに人工的に油を塗ったなっていうムツを食べたんです。そしたら意外と美味しくて。おさかなも料理法次第で楽しめるんだなって知りました。
伍代夏子「舟」
(ソニー・ミュージックレコーズ)

撮影=宮下マキ
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