尾岱沼(おだいとう)港から見た野付湾の風景。

 道東の知床半島と根室半島との間に位置する日本最大の砂嘴(さし)(※1)、野付半島。野付とはアイヌ語で「あご」を意味し、その言葉のごとくあごのような、釣り針状の形をしています。ナラワラやトドワラ(※2)など、荒涼とした風景と雄大な美しい自然が混在し、厳冬期には四角い太陽に出会える場所として知られています。
 水揚げの9割は鮭とホタテ。夏の風物詩ともなっている打瀬船で獲る北海シマエビも有名な産物のひとつです。定置網が仕掛けられている野付半島の潮の流れは速く、その上湾内はアマモという藻が大群落を作っているため、水が非常にきれい。外海では2〜3月に流氷が通過し、栄養源となる質のいいプランクトンが運ばれるため、良質の海の幸が水揚げされます。
※1 潮流、風などによってできる、湾の一方から突き出た砂提状の地形のこと。

※2 海水に浸食されて風化したミズナラやトドマツの森。

生まれの良さも重要
ふ化・放流も野付漁協の事業の一環。川に戻ってきた鮭を捕獲し、産卵の時期まで畜養して上流で採卵します。ふ化させ、0.7g(3〜4cm)ほどになるまで育て、毎年2100万尾の稚魚を当幌川、春別川、床丹川に放流します。放された稚魚は大海に出て、北太平洋を4〜5年かけて回り、産卵のために故郷に帰ってきます。なぜ鮭が母川に戻ってこられるのかは川のにおいを覚えているからと言われています。

   
撮影=菊池陽一郎
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