中島水産株式会社社長 中島明


 
 年に数回、台湾の当社合弁会社の店舗の視察に出かけております。
 今回3月の出張は、久々に日本食の飲食店や小売店などの視察を中心に活動してみましたが、その内容や現地での評価がどこも劇的に変化していることに大変驚いて帰国しました。
 台湾といっても台北のことですが、日本食の様々な業態の飲食会社や小売会社が現地に進出しておりますが、ここ2年間ほどに環境が大きく変化し、最近はどこも盛況で、一挙に花が開いたような感じです。
 だいぶ前から進出していた「カレー」、「パスタ」あるいは「ラーメン」等も、やっと現地に認知されるようになってきました。また、和菓子がブームとなってきており、餡子を使った和菓子には行列ができるほどで、特に「どら焼き」が大変な評判となっています。
 台北で最近もっとも評価が高い、1人当たり単価が7千円ほどする日本料理店に案内していただきました。日曜日にもかかわらず、200人ほどの席が完全に埋まるほどの盛況でした。タラバ蟹などは、日本ではとても不可能と思われるような低価格で提供されていて、どの料理にも素晴らしい素材が使われていることに大変驚きました。
 台北の富裕層は、とにかく日本の食文化の優れた部分を短期間で理解し、それを取り込んでしまう高い能力を持っていると思います。台北では、東京とほぼ同じようなレベルの食生活も十分できるようになったと言っても過言ではないと思います。
 魚食も同様で、日本人が安いものばかり求めていると、我々の魚食文化は、台北人に追い抜かれ、いずれ中国本土の富裕層にも追い抜かれてしまう時期もそう遠くないように思います。
 ですから、日本人である我々は、食文化、特に魚食文化そのものに更に磨きをかけていく努力をしなければならないと痛感します。
 当社は、美味しい素材の提供だけでなく、美味しい食べ方の提案もこれからも引き続き努力し、日本の食文化の向上・発展に少しでも貢献していきたいと考えております。


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