化学調味料は一切使わず、出来合いのものも買わない。外食しても自分流にアレンジして一流うちごはんを作ってしまう増田惠子さん。 結婚以来、食べることがより好きになったという彼女は、料理もほとんどプロフェッショナルの域。けれども唯一作ったことがないものがあるそう。果たしてそれは…。

ますだけいこ◎1957年9月2日生まれ、静岡県出身。O型。趣味はクラシックバレエと料理。76年ピンク・レディー「ペッパー警部」でデビュー。81年解散。その後は女優、歌手として活動。2008年には久々にアルバム「もいちど遊びましょ」をリリース。現在はライブに力を注いでいる。
 静岡はさかなが本当に美味しいんですよ。まぐろもルビーのようにきれいな赤でした。小さい頃は焼津の叔母の家で育ったんですけど、叔父が漁師だったこともあって、生しらすを酢みそで食べたり、かつおのおへそ(心臓)を甘辛に煮たものを食べたり、ツブ貝みたいなものの塩茹でやふぐの一夜干しなどがおやつでした。焼津の言葉で「断ち屑(たちくず)」と言うまぐろの骨の近くの部分は、山盛り10円とかで売っていたんですよ。いまで言ったらネギトロですよね。それを丼にして食べたり。かなり魚介類で育っているんですよね。だから東京に初めて来た時、下宿先のおばさんが歓迎のお食事にお刺身を用意してくれたんですけど、出されたものには正直、驚きました。これがまぐろ??って。
 元々さかな派でしたが、大人になるにつれて、おさかなってほんとに美味しいなあと。子供の頃は煮魚っていうと、全部同じ味がしていたんですけど、だんだん違いがわかって、これは揚げた方が美味しいなあとか、これはやっぱり焼きよねとか。すごく実感します。
 2002年に結婚するまでは、あまり料理をする機会はなく、ピンク・レディーの当時も1年に1回ぐらい寝ないでカレーを作ったり。お野菜の皮むきが私のストレス解消法、快感だったんですね。20代の頃、クリスマスの時に、当時お付き合いしていた彼に初めてお料理を作ろうと思って、クリスマスケーキは買って、ステーキを作って、さらにブリ大根を煮たんです。私のおすすめはブリ大根だったんですけど、その彼に「クリスマスにブリ大根はちょっとないよね」って言われて。確かにちょっと合ってなかったですね(笑)。
 主婦になった現在は、主に私が作りますが、時々主人と二人でキッチンに立ちます。楽しいですよ。主人が毎年お正月に作る鯛のこぶ〆は本当に美味しくて、よく行くお寿司屋さんから作り方を聞き出して見よう見まねで習得。あと、イカの塩辛やミズダコのマリネも彼の担当。これも絶品です。私は煮魚や煮物が得意。家では「煮物の女王」と呼ばれています。さかなは、アジのハンバーグやつみれ汁、ズワイガニやじゃこと水菜、桜エビのパスタなどよく作ります。作ったことのないメニューはほとんどありませんが、唯一作ったことがないものはお菓子。苺のショートケーキを作ることが私の夢なんです。結婚した時に彼に来年の誕生日には作ってみるねと言ったら、楽しみにしているよって毎年言われるようになって、いまではいつ作るのって言われています(笑)。
絵=ご主人
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