たいらぎは、ほかの貝類や魚と比べるとあまりなじみのないものですから、お刺身だと身が硬く淡白な感じがすると思います。そこで、切り方であるとか味付けなど調理そのものによって変化を与え、たいらぎが主役になるお料理を考えました。切り方も縦と横では味わいがぜんぜん違いますし、軽く火を通せば肉質も変わり、甘みを感じるようになります。またベニエは、衣があることで間接的に火が入り、いわゆる蒸されるような状態になるので、もちもちとした食感が味わえます。ちょっとした工夫で、味も食感も変わってきますので、和洋中、いずれにも応じたメニューができますし、変化が楽しめる食材です。

どいよしはる◎料理研究家、おいしいもの研究所代表。テレビ朝日系「おかずのクッキング」レギュラー講師を19年間継続しているほか、各メディアでの料理指導、レストラン等のプロデュース。NHK「きょうの料理」。基本の調理を大切にするわかりやすい指導に定評があり、日本の伝統的な食材を使った調理指導にも尽力している。食べ物の本当を伝える「食」の講演も多数。早稲田大学 文化構想学部複合文化論系非常勤講師、早稲田大学 感性領域総合研究所招聘研究員・食の文化研究会主宰、立命館大学 スポーツ健康学部客員研究員。
撮影=菅原史子
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