先日、法事で実家に帰省しました。昨年亡くなった祖母の一周忌と祖父の十三回忌、曾祖父の三十三回忌をまとめた一大イベントです。法事前日には父の姉三人と末姉の家族が到着し、夜は祖父の兄弟達も加わり大宴会になりました。食卓には母が作った煮物やサラダ、沢山のおかずが並んでいます。その中で一番目立っているのが大きなお皿のお刺身盛り合わせ。マグロ、イカ、タコ、タイ、ブリ、甘エビなどが豪華に並んでいます。これは近所でお店を営む父の従兄弟のとしゆきさんに作ってもらったものです。みんなの一番のお目当てはもちろんお刺身。宴が始まるなりどんどん無くなります。この時ばかりは私も急いでお皿に自分のお刺身を確保しました。

 としゆきさんの家はスーパーを長年営んでおり、売りはお刺身でどれも新鮮。とっても美味しいんです。なので私の家もずっとお世話になっており、栃木で海が無いにもかかわらずお魚に恵まれていました。小さい頃からお刺身を日常的に食べていましたが、特に好きだったのがたまにやっていた手巻き寿司。食卓にはお刺身や色々な具とともに大きなボールに入った酢飯がドカンと置かれています。みんなそれぞれが好みの具を自分で巻いて食べるのです。7人家族だったのでいつも賑やかでしたが、この時はさらに気分が上がりました。

 あんなにワクワクしていた手巻き寿司なのに考えたらもう10年以上食べていません。あの時私はただ食べるだけでしたが、作る側にとっては用意するものが色々あって結構面倒だったのかもしれません。でも子供を喜ばせるために母ががんばってくれたのでしょう。昔の楽しかった光景が目に浮かびます。これだけ手巻き寿司について考えたのも久しぶりなので、どんどんまた食べたくなってきました。次帰った時、今度は私が家族みんなに振る舞おうと思います。うまくできればいいな〜。

たけいちか◎1982年宇都宮市生まれ。イラストレーター。イラストレーション青山塾イラストレーション科卒業。06年TIS公募入選。07年イラストノート誌、ノート展大賞。11年TIS公募大賞。書籍の装画や雑誌の挿絵などを中心に活動しています。見た人が楽しくなるような絵を心掛けています。
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