日本のバレエ界を牽引する酒井はなさん。近年はコンテンポラリーダンスでも好評を博し、ウィリアム・フォーサイス・カンパニーで活躍する夫の島地保武さんと新ユニット[アルトノイ]を結成。新境地を開拓し続ける彼女のおさかなエピソードとは? 彼らの結婚も魚が関係する!?
 5歳からバレエをはじめたのですが、子供の頃は太りやすかったから小学校5年生ぐらいからダイエットが必要だったの。高タンパク低カロリーが主で、甘いものはダメ、油物は控えての食生活。ほんとにぷんぷくりんだったのね(笑)。だからおさかなはよく食べていましたし、大好き。30歳を過ぎた頃からはダイエットも必要なくなって、いまは好きなもの好きなだけ食べています。食べるのは大好きだし好き嫌いも全然ないので、食欲がないというのは本当に具合が悪いとき。そういえば最初に食べられるようになったおさかなはハマチでしたね。すごくナチュラルに受け入れられて、好きだったからお寿司やに行くと必ず頼んでいました。あと私はサーモンと牛ヒレ肉でできているって母が言っていました(笑)。シアトルはサーモンがとても新鮮ですごく美味しかったらしくて、お腹の中で摂取していたのか、鮭は大好き。それに親近感があります。9月の下旬に、バレエの公演で札幌に行っていたんだけれど、空港で秋鮭を見つけたの。喜び勇んで買って帰りました。脂がのっていて美味しかったですね。旬の秋鮭は最高ですよね。しかも旬のものっていちばん人間にフィットしている気がします。まさに自然からのいただきもの!
 私たち夫婦は私が日本、彼がドイツという遠距離夫婦なので、日本にいるときは実家暮らしをしています。最近は父が料理を担当していて「酒井食堂」って言っているぐらい腕が上がっているの。手伝ったり私がキッチンに立つと怒られちゃう(笑)。でも休みができると渡独して奥さん業に専念します。すると日本のおさかなって新鮮で素晴らしいなと実感しますね。そういえば彼がプロポーズをしてくれたとき、ラブレターでやりとりをしていたんですけど「大量に大きい鯖を両手に抱えてプロポーズに行きます」って書いてあったの。もちろんジョークだったけど(笑)。でも彼の口からよく鯖の話が出るんですよね。一緒に踊るアルトノイの新作でも魚を降らせようかって言ってたし、「鯖の女」っていうテーマも一時あって、どうかなとか言っていたし。確かに鯖が大好きな人です(笑)。
 おさかなのフォルムもいいですよね。シューッとした感じが。鰹とかが全身描かれているてぬぐいは買ってしまいます。あとスプーンで魚のフォルムに似ているのがあるでしょう。あういうの、好きなんです。本当におさかなは姿も味も全部大好き!
さかいはな◎アメリカ合衆国ワシントン州シアトル市生まれ。バレエを畑佐俊明に師事。牧阿佐美バレエ団公演でキューピッド役に抜擢され一躍注目を浴びる。新国立劇場バレエ団設立と同時に移籍し、?落とし公演で主役を務め、以来劇場の中核として活躍。コンテンポラリー・ダンスやミュージカルにも積極的に挑戦。優れた技術と表現力、品格ある舞台で観客を魅了する日本を代表するバレエ・ダンサーの一人。現在、新国立劇場バレエ団 オノラブル ダンサー。
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撮影=緒方栄二
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