80年以上営業していた築地市場から豊洲へ移転して、十月十一日で一年が経過しました。移転前には大混乱が予想されていましたが、初日こそ若干混乱はありましたものの、二日目以降は大きな混乱もなく、スムーズに運営されております。
 多額の費用をかけたにも関わらず、いろんな問題が噴出していることは事実です。駐車場不足、巨大が故の買い回りの悪さ、地下水問題、排水問題等、挙げたら切りが無いのですが・・・。
 不具合ばかりが取り上げられていますが、良い点もたくさんあるのです。その最たる点が、耐震問題です。80年以上経過しており、当然老朽化が進んでいたので、東日本大震災級の地震に襲われたら、完全に崩壊し、営業時間内ならば、大惨事になっていたと思います。



 解放型市場から閉鎖型市場になったことにより、温度管理が数段レベルアップし、鮮魚の鮮度劣化が大きく改善されています。築地では夏場になると高温多湿の環境下に鮮魚が何時間も放置されていたのですから、これは絶対に改善されるべき事項でした。また、商品の流れが一方通行になり、ある程度区切られ、関係者以外は立ち入り禁止になったことにより、衛生環境も大きく改善しております。閉鎖型にして温度管理をする訳ですから、当然電気代を中心とした運営費は上昇しております。食品工場の視察へ参りますと、ここまでやるの! というくらい、バクテリアコントロール・異物混入対策が講じられているのですが、築地ではほとんど対策が講じられていませんでした。それが豊洲ではだいぶ管理されるようになってきました。



 一般のお客様からは、買い物が出来ないとか、食堂が不便になったとか、いろいろなご意見もあるようですが、中央卸売市場は生鮮物の流通の要であり、もともと食堂に関しては、市場で働く人々を対象とした設備であったものがいつの間にか観光地化してしまったものですので、本来の意義をご理解いただきたいと思います。
 マグロのセリ場を中心とした一般の皆さんへのサービス等に関しては多少前進しておりますし、買い出し人のみが本来の対象である卸売市場で、どうにかして、一般のお客様に対してお買い物が出来るようなことも検討しているようです。豊洲市場の動向を見守ってくださるように、お願いいたします。
 東京都が、各方面の利害関係者の意見を全て聞き入れての調整は不可能ですが、優先順位を決めて、着実により良い市場の方向へ進んでいただくことを期待しております。
 余談ですが、豊洲市場の端から端まで歩くと30分以上かかります。本当に巨大な設備です!! 疲れます・・・。

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