料理研究家 久保香菜子


 伝統的なおせち料理だけでなく、一年に一度の新しいおもてなし料理をご提案いたします。
ひとつひとつはとても簡単だけれど、お洒落に盛りつけて、おめでたい日を演出しましょう。
「一年で一番最初のお食事」を、大切な人との団欒と共にお楽しみ下さい。

ぶりのスパイス
ピリ辛揚げ
材料(2〜3人分、おせち用5〜6人分)
ぶり…2〜3切れ
小麦粉…大さじ3
クミン(粉末)…小さじ2
カルダモン(粉末)…小さじ1
チリペッパー…小さじ1
シナモン(粉末)…小さじ2/3
塩、こしょう、揚げ油…各適宜
レモン、ベビーリーフミックス…各少々
■作り方
1.ぶりは両面に塩、こしょうを振って10分ほど置く。小麦粉にクミン、カルダモン、チリペッパー、シナモンを加えて混ぜる。
2.ぶりの水けをペーパータオルでしっかりふき、一口大に切る。スパイスを加えた小麦粉をまぶす。
3.160℃に熱した油に2を入れて揚げる。器に盛り、レモンとベビーリーフミックスをあしらう。
※お子さんやお年寄りでも召し上がっていただける程度のマイルドな風味にしてあります。スパイシーなのがお好きであれば、スパイス類の量をお好みでふやしてください。

帆立のタルタル
トマト詰め
材料(4人分、おせち用プチトマトなら8人分)
トマト(完熟)…小4個(おせち用はプチトマト8個)
帆立貝柱(生食用)…4個
ピクルス(みじん切り)…大さじ1
ケーパー(みじん切り)…小さじ1
マヨネーズ…大さじ1
塩、こしょう…各適宜
チャービル…少々
■作り方
1.トマトはへたのほうを切り落とし、中身をくりぬく。くりぬいた部分は種を除いてあらみじんに切る。
2.貝柱は白く固い部分を除き、小さめの角切りにする。ピクルス、ケーパー、マヨネーズ、塩、こしょうであえ、1の刻んだトマトを加える。くりぬいたトマトに詰め、チャービルを飾る。

たこと黒豆の煮込み
材料(4人分、おせち用12〜16人分)
ゆでたこの足…4本
黒豆…150g
にんにく(みじん切り)…2かけ
玉ねぎ(みじん切り)…1個
アンチョビ…3切れ
トマト缶…400g入り1缶
オリーブオイル…小さじ2
パセリの茎…2本
タイム…3枝
イタリアンパセリ…少々
塩、こしょう…各適宜
■作り方
1.黒豆はたっぷりの水に浸して一晩置き、充分に戻す。たこの足は1本ずつに分ける。
2.圧力鍋にオイルとにんにく、玉ねぎを入れて弱火にかける。じゅくじゅくと香りがしてきたらよく炒め、ぺったりとなるまで炒める。アンチョビを加えてつぶすように炒め、パセリの茎とタイムを加える。トマト缶をつぶしながら汁ごと加え、水1カップを加える。水けをきった黒豆、たこを入れ、蓋をして強火にして加圧する。圧がかかったら弱火にして45分圧をかけて煮る。
3.火を止めて圧が抜けるまで放置し、蓋をあける。再び中火にかけて10分ほど煮て軽く煮詰め、塩、こしょうで味を調える。器に盛り、イタリアンパセリを散らす。

数の子の
にんにくマリネ
材料(4人分、おせち用は約6人分)
塩数の子…小4本
にんにく(薄切り)…2かけ
オリーブオイル…大さじ3
ディル、タイム、パセリの茎…各1〜2本
塩…少々
■作り方
1.数の子は薄い塩水に浸して一晩程度置き、塩抜きをする。表面に白い膜が浮いてきたら指でこするようにしてきれいにむき取り、一度味見をする。まだ塩辛かったら再度水に浸して、そのまま食べてちょうどよい加減まで塩抜きをする。
2.ペーパータオルなどでしっかり水けをふく。オリーブオイルをまぶしながら密閉袋に入れ、間ににんにくとハーブ類をはさんでいく。残ったオイルも入れてなるべく空気を抜くようにして密閉し、冷蔵庫(オリーブオイルが固まらないので野菜室がよい)に入れて1日程度おく。
3.油をきって食べやすく切り、盛り付ける。タイムなどを飾る。
※2の状態で1週間から10日間、冷蔵庫で保存可能。


久保香菜子◎母親譲りの料理好きが嵩じて、高校生の頃から京都の老舗料亭「たん熊北店」にて懐石料理を学ぶ。同志社大学英文学科卒業後、辻調理師専門学校に入学し、調理師免許、ふぐ調理免許を取得。その後、辻調理師専門学校出版部で6年半、東京の出版社で5年半、料理書の編集に携わり、独立。料理製作、スタイリング、レストランのメニュー開発、テーブルコーディネイト、編集など、食に関するジャンルを問わず活動中。著書に「和食大好き」「煮物大好き」「小鉢大好き」「やわやわ、ぷるん」(文化出版局)、「和のごはん いまどきスタイル」(講談社)、「定食屋 ねこまんまへようこそ!」(パルコ出版) http://www.kk-cooking.com/

 

 今回は、伝統的なおせちではなく、お正月のおもてなし料理をご提案してみました。
 でも、おせちらしい雰囲気を大切にしたかったので、各お料理を少な目に盛りつけました。お料理ごとにまとめて盛りつけ山にして、空間を開けてあげるとぐっとお洒落になります。あとは、裏白などのお正月らしい葉っぱを飾ると気分がでます。今回は使いませんでしたが、お重を使う場合も、お料理をぎっしり詰めようとしなくても、隙間を空けて盛りつけると見た目もすてきです。お好みで、食器も漆器やガラス製品を上手に使ってみてほしいですね。
 最近は、みんなが集まったとき、日本酒だけでなくシャンパンやワインも飲みますよね。今回ご紹介した料理は、そういうお酒にもよくあいますよ。
 お料理上手になるコツは、お料理が上手な人とお友達になること(笑)。レシピを読んで難しそうに思えた料理でも、実際に現場を見ていると、「なぁんだ、私にも出来る…」っていう気持ちになれます。これがとっても大切で、こう思えたら、あとはどんどん真似をしてみるだけなんです(笑)。

photo=菅原史子
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