富山空港から車で10分。「上久のすり身」の工場に到着です。 新鮮な魚が決め手です!魚は、全て人の手でさばかれます。何をさばくのがお好きですか?の質問には、みなさん「とび魚!」と即答されていました。

すり身の歴史 縄文時代からあったすり身
 日本人とすり身の歴史はとても古く、縄文時代の貝塚や土器の中からすり身料理の痕跡が見つかっています。当時は、魚を土器に放り込み塩か海水を加えてつぶして作るという原始的なやり方でした。また、日本に限らずタイやマレーシアを始め東南アジア各国にもそれぞれの海や川でとれた魚で作ったすり身料理があります。昔から様々な地域の人々に愛された食べ物であったようです。

頭を取り、お腹を切って内臓を取り除き、お腹側を開きます。 魚を洗う富山の豊富な地下水。開いた魚は、9℃の水できれいに洗います。

採肉機に原材料を入れます。身の部分を下にして入れ、スイッチを入れるとプレスされ、身が押しつぶされて出てきます。ここで、骨と皮が取り除かれます。 この状態の魚の肉を「落とし身」と呼びます。

栄養分が豊富な「上久のすり身」
「上久のすり身」の一番の特徴は、「水さらし」を行わないことです。「水さらし」とは、かまぼこを作る場合の工程で、落とし身を水で3回〜6回洗って、汚れをとり、白さを増し、弾力を強くするための工程です。ところが、この時におさかなの「うまみ」と一緒に、栄養素であるDHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)も流れ出て、失われてしまうのです。つまり、「水さらし」を行わない「上久のすり身」は、それらの栄養成分も原料の魚の風味と一緒にそのままそっくり残っているというわけです。栄養バッチリのすり身なのです。DHAには、脳の働きを活性化する効能があります。熟年層・高齢者の方にも人気があるのはこのためなのでしょうか。

落とし身を、ミンチの機械にかけます。メッシュから、魚の肉がきれいに押し出され、裏ごしされた挽肉状のものが完成です。これが、すり身の元になります。 すり身の元と調味料を混ぜあわせるための機械はドイツのステファン社製。すり身の元になる材料に天然塩を加え、30秒弱練り合せ、すり身に弾力を与えるための前準備をします。

工場長・高島次男さんのお話
 作業は、販売する地域によって二つに分かれています。富山県内向けの品物は、早朝3時から6時頃までに作っています。その後、午後の3時頃まで、東京や大阪向けの品物を作ります。一番気をつかうのは、品質です。「落とし身」や調味料の配合の分量は、全て決まっていますが、その日のお天気や湿度、それに何と言っても原料の魚の状態によって、すり身の具合は変わってくるわけです。その身の具合を見て、練り時間や温度調整などを微妙に加減していくのです。これは、長年の勘や職人的な面があります。機械を使用していますし、使用時間も基本は決まっていますが、最後は人間の見た目や勘のようなものがからんできます。ある意味では「職人のいき」ですね。
 品質チェックは毎日の作業ですが、「いつもの味」がきちんとできあがると本当にホッとします。みなさんも是非、お召し上がり下さい。

可動式のボールからペースト状のすり身を充填機に流し込みます。じょうご状の器からポンプで上方に押し上げられ、決められた重量にパック詰めされます。こうしてパック詰めした後、金属探知と重量チェックを行い、基準を満たさない品物は左右にはねられます。この検査工程を通ることによって、それぞれの品物の重さが均一になると同時に、万一金属などの異物が混入した商品は流通しないようにチェックがなされており、安全で安心な商品が完成します。 いよいよパッケージングです。トレイの上に袋詰めした商品を乗せて、ベルトコンベアの流れ作業でラベルシールが貼られます。ここでも、金属探知機で安全を確認。シールの位置がおかしいときには、人の手で貼り直されて箱詰めされます。

これが、「上久のすり身」の完成品。使いきりやすい大きさで、とっても便利!
中島水産では「いわしの味噌仕立て」「白えび入り」「とび魚」「はもの三つ葉入り」「いか」「えび」「真鯛入り」を取扱っております。


富山市赤田735-1 tel:076-420-5922
無添加・無農薬、天然自然の食材と調味料を厳選した、ビュッフェスタイルのお店です。インテリアもお洒落で、ドリンクやデザートも充実したメニューで、お昼時には、若い女性の行列が出来るほど。富山で大人気の自然食レストランです。こちらでも「上久のすり身」が使われています。

photo: 菊池陽一郎
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