えいちえ◎映画エッセイスト。1959年東京生まれ。父は永六輔。高校時代から映画雑誌に原稿を書き始める。『スクリーン』(近代映画社)、『クロスロード』(青年海外協力隊)、朝日新聞ビデオコラムなどに連載中。著作『いつもの場所で』(近代映画社)、『読めば読むほど』(くもん出版)など。夫ひとり子供ふたり猫3匹と同居。
 
年 と共に、体が肉より魚の方を喜んで食べるようになっているなぁと感じています。子供の頃は、お魚って、食べにくいイメージがありました。きっと、ネックは骨ですよね。
 で も、お魚の骨ってよく見てみるととても面白いんですよ。魚によって骨の出ている位置や形が全部違うから。というのも、ここ2・3年、主人が釣ってきてくれるようになり、「ああ、こんな所にこんな骨があるよ」って解体作業の面白さに目覚めてしまいました(笑)。最近も鯛を食べながら、変な形の骨が見つかって、とても勉強になりました。これは、自分でむしらないとやっぱり分からないですよね。
 こ の間の連休も、イシダイと鯛を釣ってきてくれました。意気揚々と、子供達と写真を撮ってから、夜には、盛大に主人の手料理を堪能しました。私は、ご飯炊くだけで助かっちゃいました(笑)。結構凝る人なので、包丁も自分で買ってきて色々試して上手になったんですね。その日は、イシダイのお刺身と鯛の塩焼き、アラで出汁をとった潮汁でした。長ネギを加えた潮汁は本当に美味しかったです。これも主人のおかげです(笑)。多分、お酒の好きな人には、たまらないであろうメニューで、みんなで幸せな気分でした。
 我 が家の子供は、魚を嫌がらないんですよね。多分、釣ってきた魚をそのまま見ているから。台所では、醤油のお皿を持って待っている程で、お刺身がさばかれていく横から食べています(笑)。下の子供が特に、骨を気にしないですね。まだ小さいので巧くないんですけれど、骨があってもどんどん自分で食べている息子を見ていると、偉いなぁと思います。口の中に骨があることを気にしないみたい。「あ、あった」という位で器用に出すんですよね。しかも、魚の絵を書くことがものすごく好きなんですよ。釣ってきた魚の形を眺めたり、釣りの本がボロボロになるまで見ていた時期もありました。しばらく魚の絵ばかり書いていました。
 時 々、万が一何もない所に自分たちが置かれた場合に、何が食べられるだろうって考えるんですよ。人間が食べるものって、多分、自分で手をかけられるものをいただくことが、正しいんだろうなって思います。そう考えると、お魚や鳥はなんとか捕まえて締めることが出来ると思うんですよ。自分が食べるものを殺生することは間違ったことではないので、ありがたくいただくことが大切なのでしょうね。お魚も、骨だけが残るまできれいに食べさせてもらおうって気持ちになることが正しいのかなって思います。魚を釣って持ち帰り、最後まで美味しくきれいにいただいて、後はそのまま土に返しても大丈夫というサイクルが理想ですね。
 我 が家にはネコがいますので、お魚は残すところがないんですよ。ネコはネコで、主人が台所に包丁を持って立つとわかるんですよね。私が台所に居ても全然出てこないんですけれど(笑)。ああ、「これは美味しい何かがくるぞ」ということを感じるみたいです。なんて幸せなネコだろう…と、思います(笑)。

photo=菊池陽一郎
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