でびっといとう◎1966年生まれ。お笑いトリオ「B-21SUPECIAL」のメンバーで俳優、タレントとして舞台・ドラマ・映画・ CMなど幅広い分野で活躍中。また、ラーメンの魅力に魅せられて自分でお店を開くなど精力的に仕事をこなす。4月からは連続ドラマ出演も決定。
 僕、お魚好きですよ。お肉も好きですけど、歳をとればとるほど、お魚が好きになってきましたね。ラーメン屋さんを始めて、骨や肉の塊を自分でさばいたり、いつもチェックして見ているからか、仕事が終わると和食屋さんでお魚が食べたいなぁって思うんです。
 僕が好きなのは、鰺のたたき、イカの塩辛、しめ鯖。もうそれがあれば充分。ホタルイカも好きですよ。沖漬けは、酒の肴になりますものね。僕は、お酒が大好きなんです。だからそれに合う珍味も大好き。お店で、パッと出されてそれが絶品な味だったら、もうたまらないです。
 ただ僕、調味料が多めに入ってたりする既製品のものはダメなんです。普段はなんでも美味しくいただくタイプでコンビニも大好きです。お弁当なら幕ノ内が好きで、色々なものが入っているのが好きなんです。ただ、自分のラーメン屋さんで、人にお出しするものとなると薄味系のものに辿り着くんです。男っぽい味は作れないんですよ。この間実家に帰った時にお袋と子供の頃の食卓の話になったんですね。うちの食卓にはたくさんお皿が並んでいたイメージがあって、それは親父の影響だったわけです。「とにかく、食だけはちゃんとしてくれ」とよく言っていましたので。お袋から、その時の料理には「既製品や調味料などは一切使っていなかった」と聞いて驚きました。塩辛も親父が作っていて、自分のレシピ表がある位でしたし。子供の頃の食習慣はとても大切で、その時に僕の舌は作られたんだなぁ、って思いますね。だから今、両親にはとても感謝してます。
 又、母方のおばあちゃんが、僕が遊びに行くと、鰺のたたきを必ず作ってくれましたが、これもどこのお店にもない味でしたね。ショウガとにんにくがちょこっと入っていて。本当に美味しかった。
 しめ鯖が美味しいお店は少ないのですが、渋谷にあるお寿司屋で食べたしめ鯖には感動しました。もう、酢加減はほんのり利いてる位で、鯖の素材を感じられるのが良いんです。そこでのおすすめは、にしんのにぎり。骨を丁寧にとって普通ににぎるだけ。でも、これがうまい!どこのお寿司屋さんでお願いしても「すみません。にしんはあるんですけどにぎりは…」と断られたり、にぎってもらってもちょっと骨っぽかったりしますからね。骨をとるのが大変なんでしょう。本当にこだわりのあるお店です。
 僕は今、芸能人とラーメン屋さんという二足のわらじを履いていて、よく「どっちの比重が大きいの?」と質問されますけれど、僕にとっては、100対100の割合で比重は同じなんです。きちっと気持ちを切り換えられる、自分のスイッチを持ちたいし、それを人にも伝えたいですね。60〜70歳になった時に、やって良かったなと思えるようにしたいです(笑)。
 ラーメン屋さんを始めてから全国から食材が届くようになったんですよ(笑)。さんまやタラバガニが大量に届いたりして。一回、そのタラバに逃げられたことがあるんですよ。届いたタラバの箱を開けたまま、眠ってしまい起きてから箱の中を覗いたら居ないんです。あれ?っと思ったら、近くでガサゴソガサゴソ音がして、カニが箱を抜け出して動いてたんです! あー、さっきは仮死状態だったのか!って気が付いた時は、面白かったです(笑)。

撮影=岩瀬陽一
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