毎年4月の10日頃。春の風物詩・いかなご漁が一段落すると、続いて桜鯛の季節が始まります。瀬戸内海に面した明石市の四つの漁港には、太平洋から瀬戸内海へ真鯛の大軍が流れてきます。明石海峡にもまれて育った鯛は身が締まっているうえ、産卵前なので卵がいっぱい。桜の季節に訪れる薄ピンク色の真鯛は響きも心地よい「桜鯛」と呼ばれています。
 午前3時には出港し、網をしまうのは午前8時。漁では、長年の経験や魚群探知機を使って獲物を追いつめ仕留めます。餌は、エビや小さな蟹など様々。眼前にそびえる明石海峡大橋の下で釣り上げて昼前には明石の港に到着します。季節の魚による網のつけかえや船の操縦、魚の釣りあげも全て一人で行っているとのこと。迅速な仕事ぶりの明石の漁師さんは人なつっこくとにかく陽気。水産物分場へ水揚げされた鯛は、午前11時半にセリにかけられます。
シンボリックな明石海峡大橋。高速船で12〜13分で着く距離にある淡路島も岸辺から確認できます。


午前11時30分にスタートするセリに間に合うように船が到着。 漁師さん達の船は、ここに停泊し収穫した魚を水揚げします。

大きさごとに選別された魚をセリにかけます。 威勢の良いかけ声とは裏腹に、どこか和んだ雰囲気が明石流。



 地元では「魚の棚」と書いて「うおんたな」と読む商店街。大阪の黒門市場、京都の錦市場に次ぐ規模の大きさ。明石駅前に広がるアーケードつきの商店街では、タコや鯛など活きた魚が威勢良く陳列されています。鮮魚の他にも、練り製品や名物・明石焼き、衣料や日用品などもあり、歩いているだけで明石市民になりきれます。



株式会社 丸大/専務取締役
角谷知彦さんのお話
 明石で生まれて明石で育った以上、魚は子供の頃から食べてますね。といっても、昔は鯛なんかの味は、わからずに食べてましたけど。タコはずっと食べてましたよ。明石のタコの入った玉子焼きは(たこ焼きを明石では玉子焼きという)今でも大好物の一つです。
 明石では、春・夏・秋・冬と一年間で水揚げされる魚が変化していきますので、季節の移り変わりを敏感に感じますね。3月は春の風物詩・いかなご。くぎ煮といわれる独特のつくだ煮なんですけど、めっちゃ(すごく)うまいですよ。4月に入ると、天然の鯛が山のように水揚げされます。いわゆる桜鯛です。素敵な土地なのでみなさんも是非、明石に足を運んでみて下さい。
鮮魚仲買人・(株)丸大の角谷専務と角谷社長。 「いてまえ」な着こなしとやさしい笑顔が素敵な仲の良い親子! 帽子に輝くブルーのプレートがセリでの許可書となる。「寒くても暑くても、精一杯努力して仕事をする。」とは社長の言葉。


これが明石産の見事な桜鯛。海から水揚げされたばかりの新鮮な鯛をすばやく絞めます。 明石のもう一つの名物といえばやっぱりタコ。竹に伸ばされて干された姿は、まるで凧のよう。


 昔から漁場としては活気のある明石では、港の真ん前にある水産物分場にて、午前11時半からセリが行われます。ここで取引された粋の良い魚は、魚の棚で午後には販売されているため鮮度の良さが好評です。この魚は「明石の昼網」と呼ばれ、地元ではとても人気があります。


photo: 菊池陽一郎
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