料理研究家 植松良枝さん

鯛と野菜の大皿グリル

材料(4人前)
鯛(小ぶり)一尾を2枚おろししたもの(または切り身3〜4切れ)
じゃがいも…3個
タマネギ…1/2 個
トマト…1個
にんにく(つぶす)…3〜4個
タイムの葉…4〜5枝分
オリーブオイル…大さじ6
ケイパー…大さじ2
塩・こしょう…適量

じゃがいもに鯛のうまみがしみ込んで、とっても豪快で拍子抜けするほど簡単な料理です。
■作り方
1.じゃがいもはすっと竹串がとおるまで皮ごと蒸し(または茹で)、熱いうちに皮をむいて半分に切り、1.5 cmの厚さの輪切りにする。タマネギは1cm厚さにスライスしておく。トマトは乱切りにする。

2.鯛は2枚におろしたものをそのまま使うので、皮目に浅く2〜3本斜めに切り込みを入れておく。(切り身の場合も同様に。)全体に塩をふり、こしょう、タイムの半量も表面にまぶしつけておく。

3.1の野菜とケイパーを大きなボウルに入れて、残りのタイムとオリーブオイル大さじ
4、塩こしょう少々でよく和え、オリーブオイル(分量外)を薄く塗った耐熱容器に平らに並べる。

4.鯛をのせてつぶしにんにくを散らし、上からオリーブオイル 大さじ2をまわしかけ、220度のオーブンで20〜25分鯛の皮目がぱりっとするまで焼く。

鯛とかぶの
クリーミィースープ

材料(4人前)
鯛のあら…一尾分
かぶ…6個
白ワイン…1/4 カップ
長ねぎ(太いもの)…2本
塩こしょう…適量
生クリーム…約1/3カップ
ローリエ…1枚

白い素材だけを集めて作る、優しいあじわいのスープです。
■作り方
1.鯛のあらはよく洗って鍋に入れ、白ワイン、ネギの青い部分1本分とかぶるくらいの水(約1リットル)を加えて強火にかけ、途中あくをひきながら火を弱くして20〜30分煮る。

2.かぶは4個は葉をおとして皮をむいて4等分に切る。残り2個は葉の部分を2〜3cmほど残して切り、半分に切って皮をむく。長ネギは白い部分を適当な長さにぶつぎりにする。

3.1をペーパータオルをしいたざるでこしてなべにもどし、2の野菜とローリエを入れて野菜が柔らかくなるまで煮る。途中葉を残して切ったかぶ2個分をとりだしておく。

4.3のあら熱がとれたらローリエを取り除いてミキサーにかけてなめらかにし、再び鍋に入れ、取り出しておいたかぶも加えて温めなおして塩こしょうで味をととのえ、器に注いで生クリームを適量かける。こしたあらの身をスープの具にのせても。

蒸し鯛と野菜の
チリソース

材料(4人前)
鯛切り身…4切れ
カリフラワー…1/2個
チェリートマト…8個
アスパラ…4〜6本
芽キャベツ…8個
酒…適量
塩…適量

ソース
チリソース…1/3カップ
レモン汁…1/2個分
ごま油…大さじ1 
しょうゆ…小さじ1
砂糖…小さじ1〜2

蒸したふわふわの鯛に酸味と辛味のあるソースは好相性!かぶや長いも、ゆりねなどを一緒に蒸してもおいしいです。
■作り方
1.鯛の切り身は半分に切り、塩を全体にふっておく。

2.カリフラワーは小房に分け、芽キャベツは半分に切る。アスパラは固い部分を切り落として6cmくらいの長さに切る。

3.ソースの材料を混ぜ合わせておく。

4.お皿に鯛とカリフラワー、チェリートマトを並べ、鯛には酒大さじ1〜2をふって蒸気のあがった蒸し器に入れ10分程度強火で蒸す。(途中で時間差で芽キャベツ、アスパラも加える)

5.ソースをかけていただく

鯛と菜の花の
シンプルパスタ

材料(2人前)
鯛(切り身)…1切れ
菜の花…1/2把
タマネギ…1/4個
にんにく(つぶす)…1個
パスタ(1.4mmのもの)…160g
白ワイン…大さじ2
オリーブオイル…大さじ3
鷹の爪 1本(種をとってちぎる)
塩・こしょう…適量
レモン…適量

鯛の甘みと菜の花のほろ苦さがいかにも春らしいパスタ。レモンを搾ってさっぱりと。
■作り方
1.鯛は皮をはずして一口ぐらいの大きさに切って塩を強めにふっておく。たっぷりの湯をわかす。

2.菜の花は葉と茎を分けて、茎のほうは半分に切る。タマネギは繊維に沿って5mmくらいの薄切りにする。

3.フライパンにつぶしにんにく、鷹の爪、オリーブオイルを入れて弱火にかける。にんにくがきつね色になってきたらタマネギを加えて透き通るまで炒め、鯛を加えて、鯛の色が変わってきたら白ワインをふり入れ、ゆで汁をおたま1杯分加えてちょっと煮詰める。

4.パスタを袋の表示に従ってゆで、ゆであがる30秒前に菜の花の茎を加え、さらにゆであがる直前に葉も加えてざるにあけ、3に入れて和えるように炒める。

5.塩・こしょうをして味をととのえ、お皿に盛り、レモンを絞っていただく。

*パスタのお湯の塩目安1リットルの湯に対し、大さじ2/3の塩

焼き鯛のせ春の蒸し寿司

材料(4〜6人前)
鯛切り身…2〜3切れ
山うど…1本
干ししいたけ…3枚(ぬるま湯でもどしておく)
かたくり粉、酢、しょうゆ、砂糖、塩…適量
 
酢飯
 米…3合
 昆布…5cm
 酒…大さじ1
合わせ酢
 米酢…大さじ5
 砂糖…大さじ3
 塩…大さじ1
トッピング(各適量)
 錦糸卵/いくら/木の芽
 三つ葉(2cmくらいの長さに切る)
 あれば実山椒の塩漬け

鯛の皮に少し焼色をつけてから蒸しあげたお寿司です。
■作り方
1.酢飯を作る。米を研いで炊飯器に入れ、昆布、酒を加え、炊飯器の酢飯の目盛りに従って水加減し、炊く。炊きあがったらよく混ぜた合わせ酢をふりかけて手早く混ぜ合わせる。鯛は半分に切ってざるに並べて塩を両面にふっておく。
 
2.山うどは皮を厚めにむいて4〜5cmの長さの薄切りにし、水1カップに対しかたくり粉大さじ1強を溶いたものにつけて20分ほどあく抜きしてよく洗って小鍋に入れ、ひたひたの水、砂糖約小さじ2、酢約大さじ1、塩少々を加えて煮汁がほとんどなくなるまでふたをせずにゆで、さましておく。

3.もどした干ししいたけを薄切りにして小鍋に入れ、ひたひたのもどし汁を加え、砂糖大さじ1と1/2を加えて煮汁が半分くらいになるまで煮含め、今度はしょうゆ大さじ1を加えて煮汁がほとんどなくなるまでふたをせずに煮て、さましておく。
 
4.ロースター(魚焼き機)で鯛を7〜8分ふっくらと皮に焼き色がつくまで焼く。

5.酢飯に水気を切ったうどとかるく水気を絞ったしいたけ、千切りにした錦糸卵を加えてさっくりと混ぜ、蒸し器に入る茶わんに盛る。三つ葉とあれば実山椒の塩漬けをちらして鯛をのせて蒸気のあがった蒸し器で6〜7分蒸し、木の芽といくらを散らしてあつあつをいただく。

*うどのかわりに蓮根の薄切りでもおいしい。

鯛とかいわれの昆布〆

材料(2〜3人前)
鯛刺身用…1柵(約200〜250g)
かいわれ…2パック
昆布(幅のひろいもの)
20cmくらいの長さのもの4枚
酒、塩…適量
ラディッシュ…6個
わけぎ…適量

レモンわさびじょうゆ
 わさび…適量
 しょうゆ…大さじ3〜4
 レモン汁…1/2個分
 オリーブオイル…大さじ1〜2

たっぷりの薬味を添えて、サラダ仕立てに。
■作り方
1.昆布は表面をふいて水にさっとくぐらせてビニール袋に入れてやわらかくする。鯛は斜めにできるだけうすくスライスする。

2.やわらかくした昆布にはけで酒をうすくぬり、鯛を重ならないように並べ、しきつめたら上に昆布をもう一枚のせて同じように並べ、2つに折りたたんでラップでぴっちり包む。かいわれも酒を塗った昆布の上に1パック分根元を切り落としてのせ、かるく全体に塩をふってはじからくるくる筒状に丸め、ラップでぴっちり包む。
同様にもう一つ作る。両方とも最低6時間以上、できれば一晩冷蔵庫で味をしみこませる。

3.ラディッシュはうすくスライスする。わけぎは青い部分をできるだけ斜めにうすくスライスして氷水にはなしてくるんとカールさせる。

4.平らなお皿に鯛とかいわれを盛り、その間にラディッシュと水気を切ったわけぎをちらし、よく混ぜ合わせたたれをかけていただく。

*だしをはって鯛茶漬けにしても、薬味に芽ネギ、三つ葉、シソなど使ってもおいしい。
*昆布に巻いた状態で2日冷蔵可。



うえまつよしえ◎料理研究家。料理雑誌のアシスタント、レストランやカフェなどに勤務後、料理家・有元葉子氏のアシスタントに。現在はアシスタントとして所属するかたわら、フリーでの活動を開始。ニッポンの旬を意識した家庭で作れるやさしい味わいのmamagoto風レシピを日々考案中。
http://www.uemassa.com

 おさかなのお料理は何と言っても鮮度が大切ですね。ごまかしようが無いですから。今回の明石の鯛は、身がプリプリに締まっていてとても美味しい素材でした。お刺身で食べても充分美味しいのですが「昆布〆」の様に、一晩昆布で〆るとさらに身がしまり昆布の旨味が鯛に加わってより美味しく頂けます。あまった昆布は、細かく刻んで佃煮に。鯛は、余すことなく生かし切れる素材です。「クリーミィースープ」の味の決め手は水から煮た鯛のあら。玉ネギではなくネギを一緒に煮てミキサーでとろみをつけるだけですが、あらからでたコクと旨味が強くとても美味しい一品です。あら汁でご飯を炊いて、焼いた鯛をほぐしてジャーに加えれば鯛飯にもなりますし、この出汁で作った「鯛のタイ風カレー」も美味しいですよ。春らしく「パスタ」では菜の花を使いました。鯛は淡泊なおさかななので、菜の花の苦みと良くあいます。パスタソースには、身ではなく中落ちの部分をこそげて使えば経済的ですし、お味も良いです。ポイントは、下ごしらえの時鯛に多めに塩をふり水気を取ること。身も締まってより美味しくなります。仕上げの塩加減はお好みで調整して下さい。
鯛といえばお刺身だったり和食のイメージがありますが、頭に皮に骨にと余すところなく使える万能食材ですから意外と洋風のお料理にも良くあいます。おさかなお料理は難しいなぁ…と気張らずに、おさかな屋さんにお願いしてどんどんさばいてもらって使ってみてください。切り身を使えばお肉感覚で調理できます。


photo=菅原史子
Copyright (C) 2005 NAKAJIMASUISAN Co., Ltd.