しりあがりことぶき◎漫画家。1958年静岡県生まれ。多摩美術大学卒業後、キリンビールに入社。会社勤めのかたわら単行本を出版するなど、二足のワラジで数作品を発表。その後会社を退職し、専業漫画家に。『時事おやじ2000』『ゆるゆるオヤジ』にて第46回文芸春秋漫画賞を受賞。第5回手塚治虫文化賞受賞の『弥次喜多 in DEEP』は宮藤官九郎により映画化したことも話題に。
2002年より連載の、朝日新聞4コマ漫画『地球防衛家のヒトビト』もおなじみ。
 魚介類は、これまで幾度も、漫画で描いてきましたね。多分、哺乳類とかよりも多いと思いますよ。あと、爬虫類も比較的、登場回数が多いですね。僕ねぇ、湿ってるカンジ、ヌメヌメ、グチュグチュした物に惹かれるみたいなんです(笑)。だから、フサフサしている動物より、ヌメっとした動物の方が、描きたい欲≠掻き立てられるんですよね。でも、エビとかカニは、あまり欲が湧きませんねぇ。というよりも、面倒くさいのかも。足がたくさんあったり、フサフサしたの描くの(笑)。何故か食べるに関しても、オクラや納豆、めかぶ、山イモなど、ヌメヌメ、ネバネバした物が好きなんですよねぇ。どうも切り離せない関係にあるようです。

 おさかなの中で、特に好物を挙げろと言われたら、イカとウニですね。まずイカは、やはりあのヌメっとした感じと、フォルムもいいですねぇ、外見からして好きです。真っ白なドレスを着ているようで、可愛いし、何とも神秘的ですよね。でも、飼いたいとは思いません。すごくデリケートそうじゃないですか。イカの食べ方で好ましいのは、やはり刺身が一番ですが、イカであれば、何でも好きかな。炙りになっていようと、メシになっていようと。

 ウニは、小さいころから大好物で、小学校1、2年ぐらいから、寿司屋に連れて行ってもらえば、こぞってウニを注文してましたね。大概、子供の味覚には、ウニはあまり好物とされませんが、僕のウニデビューはかなり早い方だと思いますね、今でも。ただ、当時はウニは高価で握られていましたから、今みたいに100円台で流れていませんからね。僕の親も困ったもんだと、ついには「ウニを頼んだ時点でオーダーストップ」という規約ができてしまいました(笑)。ウニばかり注文する僕を見兼ねていたんでしょうね。しかし、一度でいいいから、あの桐箱みたいのに入ったウニを、一箱丸ごとダーッと流し込んでみたいなぁ。夢だなぁ。あ、あと目黒にある寿司屋にイカとウニが、ギュッと詰め込まれた手巻き寿司があって、あれは旨かった。僕にとってのゴールデンコンビですからね。忘れられないなぁ。

 僕は静岡の出身で、比較的おさかなが美味しくいただける土地柄で育ったものですから、おさかなは全般に好きです。その中でも、イカとウニが好きなのは、出てきた時に、すぐ食せるからでもありますね。小骨が多かったり、骨が太かったりすると、ちまちま作業して、食べるころには冷めてたりしますからね。やはりパクっといけないと。とか言って、やっぱり面倒くさいからなのかなあ(笑)。

撮影=岩瀬陽一
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