interview

くりやままゆみ◎料理研究家、栄養士。料理研究家・枝元なほみ氏のアシスタントを経て独立。旬の素材の味わいを活かした、シンプルで美味しい料理に定評がある。雑誌、書籍、テレビで幅広く活躍中。著書に『味つけに差がつく! 基本のたれ57』 (PHP研究所)、『ポルトガル おいしい旅日記』(河出書房新社)、『なすとトマトがおいしい!』(講談社)などがある。月1回料理教室を主宰。詳しくはHP「おいしい暮らし」料理、ときどき旅(http://castanha-2.petit.cc/apple1/)にて。
 基本ケチというか、それにしか使えないというキッチングッズはあまり買いません。多様性がないと、収納スペースも限られるので。でも、旅先で出会ってしまったものは例外で、この前もポルトガルで単一用途のキッチングッズを買ってしまいました。かわいかったからお土産も兼ねて。食に関するものは、旅先だと結構ケチらずに買っちゃいますね。
 私にとって旅は趣味と同時に、食を通して文化を知る大切なツール。今ではポルトガルは第2の故郷にしちゃっているし、親善大使だって勝手に言っているけれども(笑)、最初はなにげなく立ち寄った国でした。でも予想以上に、食は美味しいし、人も良いし、帰るのが名残惜しくて、それ以来2年に一度は訪れています。どちらかというと私は肉よりさかなの方が好きで、ポルトガルも基本が魚介の国だし、料理も素朴。ポルトガル料理は日本の家庭にも取り入れやすく、なじみやすいので、興味深いです。
 あと、ポルトガルを含め、共通してはまるポイントがダシ文化のある国。国内だと瀬戸内海エリアが好きなんだけど、あの辺はしっかりとした美味しいダシ文化がある。ベトナムやタイもそう。ポルトガルも365日違う干し鱈料理が食べられるというような表現もあるほど干し鱈が好きだし、代表的な料理にアレンテージョ風豚肉料理という豚肉とアサリの炒め煮があるんだけど、肉料理にさかなの旨味を足すのよね。こういった食べることに手間を省かない、美味しいダシ文化に惹かれるんです。だから、私は旅をすることで自分も楽しみながら、こういうちょっとしたアイデアを提案していく。それが使命かなと思っています!
撮影=菅原史子
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