中国人のマグロ消費の拡大により、日本の食卓にマグロが乗らなくなるという報道については、いくつかの誤解があります。
 まず、遠洋で漁獲されるマグロについては、マイナス50℃以下の冷凍庫で保管しなければ、変色してしまい、商品価値が極端に下がってしまいます。日本国内にはこの超低温冷凍庫の設備は充実しておりますが、他の国では一般消費者に届くまで超低温で管理できるようなシステムが出来ていませんから、冷凍マグロが広く普及するには、大きな設備投資が不可欠であり、当分の間、普及するとは考えられません。キチンと温度管理されたフレッシュマグロが一週間程度で消費出来る範囲内でしか、美味しいマグロは流通しないことをご理解ください。
 中国人のマグロ消費は、実は大トロが中心なのです。脂の目一杯乗ったマグロを好んで食べますが、中トロでも満足せず、赤味にはほとんど興味がありません。天然マグロでも、脂の乗っていないマグロには全く興味を持っていません。この傾向が続くと部位によるアンバランスが生じてくることになります。
 黒マグロのワシントン条約批准は回避されましたが、自己規制は義務付けられており、稚魚を含めた漁獲量は確実に削減されます。養殖技術の進歩と規制の強化、中国人を中心としたマグロ消費の拡大、それぞれのスピードアップ次第で、マグロの資源の枯渇という問題がどのように変化していくのかが左右されます。
 マグロの資源確保のためにも、皆さんと一緒に対策を考えていく必要があることをご理解いただきたいと思います。魚資源を大切にしていきましょう!!
絵=上野るう
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