偶然ですが、今号の取材班と同日に明石へ行き、昼網を見学して、その魚をいただいてきました。明石では、真鯛、蛸、アナゴが有名ですが、他にも挙げたらキリのないほど美味しい魚が目白押しです。今回は、他に、ハリイカ、サワラ、カサゴ、メイタカレイ・・・いろいろいただき、今思い出してもよだれが出そうです。  本州と淡路島の間の明石海峡は潮流が速く、複雑の地形になっており、日本有数の豊かな漁場になっているので、美味しい魚が揚がって当たり前なのです。弊社の関西地区の店舗でも大変好評をいただいております。特に、近場の大丸神戸店の鮮魚売場には、11時半にセリ落とされた魚が1時半に到着し、それを待ちかねていらしたお客様によって、瞬く間に売れていく様子は、魚屋冥利に尽きるものがあります。
 しかし、残念ながら、更なる拡販には大きな敵がいます。それが、時間と運賃です。身が死後硬直前の「活かった」状態だからこそ関西のお客様に高い評価をいただいているのですから、なるべく早く店頭に並べなければ意味がありません。それには、各店へ個別に配送しなければ、お客様の夕食準備に間に合いません。それを優先すると、多大な運賃が魚価に上乗せされるのです。販売量が少なく、遠い店になると、魚価の半分ほどの運賃が上乗せされることになります。
 関東店舗でも、福岡市場の商品を空輸し、羽田から各店に配送していますが、羽田までの運賃よりも、羽田からの運賃の方が高くなっており、「産直品」「高鮮度の商品」をいかに安価にお客様のお届けできるかが、鮮魚小売業者の課題になっております。「ドローン」のような技術によって、時間とコストとの闘いを勝ち抜き、お客様にもっともっと美味しい魚を提供したいものです。
撮影=菊池陽一郎(漁、市場、店舗)
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