使いづらくても自分の手に慣らせばいい
 私がキッチングッズを選ぶとき、基本的にはたくさんの色を入れないで統一する、まとめる、です。色は白、黒、ナチュラルに限定しています。家のキッチンもステンレスと木の素材と、あとは白か黒にしています。仕事柄、料理家さんが使っている道具をみて、使いやすそうって買うこともあります。もちろんダメだってこともあるし、ずっと使いたい、定番にしたいということもあります。鍋はかわいいなと思うものも含めて気になったものは買って使ってみます。例えばストウブとルクルーゼの場合、ルクルーゼはホーロー引きだから炒めて煮ることもできるんだけど、焦がしたいなというときはストウブにしようみたいな、違いを試したいタイプですね。デザイン的にはシンプルなのが好き。かと言って、結局はそれぞれの家の事情って違うから、「これかわいい、絶対に使いづらいだろうけれど家に置いておきたい」ってものもあると思うんです。そういうのはとにかく買って、多少使いづらくても責任を持って使えば、そのうち自分の手に慣れてきて、ほかの人にとっては使いづらくても、使っていくうちに自分のものになってくると思うんです。それはそれでいいような気がしています。道具って、料理もそうだけれど、慣れとかその人の癖とかが現れるから、使いやすい業務用という選択肢もあるけれど、それにこだわらず、楽しく料理ができれば自分の好きなものをチョイスして揃えていくっていうのもアリだと思います。
 うちの店「STOCK THE PANTRY」では、料理家さんがいるので、彼女たちの意見を極力取り入れています。でも、デザイン的なものも意識はしたくて、自分が使ってきた中で一番だよねっていうもの、経験上、使いやすかった、デザインもいい、飽きない、キレイという永遠のアイテム的なものも置きたいと思っています。でも、すべてが完璧もつまらないから、遊び心をどこに入れようかなぁっていうのをいま悩み中です。あとは彼女たちとの会話で、いいよねとなったものを少しずつ入れていければいいなと思ってます。そういう意味では今回のセレクトは自分自身で気になっているもの、ここにどういうものがあったらいいかなというのを想像しながら集めました。
ささきかなこ◎スタイリスト事務所に3年勤務後独立。ライフスタイルを中心に食まわりのスタイリングを手がける。撮影した書籍は100冊以上。料理の撮影でいつも心がけていることは美味しさを魅せる(見せる)こと。当たり前なんですが、とても難しく日々葛藤。そして本の中の料理とその物語を読者に届ける橋渡しの様な仕事だと思っている。


撮影=三木麻奈
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