今回の特集の「みかん鯛」の取材に同行して、養殖の一日の流れ、こだわり等を目の当たりにし、生産者さんの苦労の一端を垣間見ることが出来ました。
 特集記事をご覧いただいたと思いますが、「みかん鯛」は、みかんの皮に含まれるポリフェノールによって、血合肉の褐変を防ぎ、魚の臭みを軽減させて、美味しくいただけるようになっています。
 アジア各国で持ち帰り鮨を定着させてきたのですが、主たる購買客は中華系の方々で、色鮮やかで、脂が乗っているネタがお好みのようです。その中でも比較的安価なサーモンが圧倒的一番人気なのですが、次の生ネタの開発に大変苦労をしている状況です。
 中華系の方々は本マグロも好きですが、いかんせん値段が高過ぎて、持ち帰り鮨では中々手を出せるお客様が限られてしまいます。ブリ類は脂が乗っているのですが、血合肉の褐変によって購買意欲をそそらない状態でした。ところが、ポリフェノールを餌に混ぜ、褐変が遅い商品を取り扱うようになってから、徐々にブリの鮨も売れるようになってきた国もあります。ただし、航空運賃等の問題もあり、中々一般庶民の方が気軽に手を出せる価格で提供出来ない状況です。今後、養殖技術が更に発展し、いろいろな生ネタが提供できる時代が来ることを望んでおります。
 「みかん鯛」は、中華系のお客様がお好みの、脂が乗っていないので、海外で量販することは中々難しいかとは思いますが・・・。
 品質と価格のバランスは永遠のテーマです。養殖に関しても同様で、余計なものを省き、生産性を上げて、効率よく大量生産すれば、安価な商品を提供できると思います。「みかん鯛」の工程を見ていると、毎日餌を製造していますし、魚を締めて神経抜きして、大変丁寧に魚体を取り扱っており、品質優先の姿勢がはっきりとわかります。しかしながら、一般的な養殖鯛よりも1〜2割高いので、量販が難しいのです。
 他の生鮮食品も同様なのですが、養殖魚も、市場流通とは一線を画し、大きさ、色、身質、脂の乗り具合等を弊社なりの仕様で作ることが、技術的には可能な時代になってきています。
 お客様にご納得いただけるような、弊社がカスタマイズした養殖魚を提供できるようになりたいものですね!!
 宇和島プロジェクトさん、中田水産さん、取材協力ありがとうございました。   

撮影=行竹亮太
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