新型コロナウイルスの国内最初の感染者が今年一月に見つかってから、間もなく一年になろうとしております。史上初の緊急事態宣言が出されて行動を制限されたり、経済活動も大きく制限されたりしました。第二波も落ち着いてきましたが、世界中ではまだまだ拡大の一途をたどっている状況です。
 ここまでに、水産物流通の世界でも、様々な事態が起こりました。
 外出できず、自炊が中心になったことにより、スーパーマーケットでの買物の機会が増え、当然スーパーマーケットの水産物の売上は好調でした。一方、百貨店は営業の制限を受け、休業や営業時間の短縮をしたことにより、デパ地下でも売上が減ってしまいました。
特にターミナル百貨店では、お客様が密を避ける行動を取ったことにより、現在でも大きく落ち込んでおります。
 外食でも宅配サービスの需要が飛躍的に伸び、洋風ファストフードの持ち帰りも大きく伸びました。
 一方、店内での飲食が苦戦し、酒を提供する業態の営業が制限されて、未だに尾を引いております。コロナによって、生活様式が一変していることが窺えますが、これはほぼ逆戻りすることは無いと思われています。  水産物流通自体も大きく変化してきております。店内での飲食が大きく制限されたのですが、居酒屋だけでなく、取引先との接待が全く無くなったことから、ウニ・鮑に代表されるような高級食材の消費が止まってしまいました。それにより、高級食材が大きく値を下げて比較的手の出しやすい価格になり、多くのお客様に喜んで購入していただくことができました。残念ながら現在では、生産調整が進んだことによると思われますが、そのような状況は見受けられなくなってきております。
 また、当社は現在、農林水産省「元気いただきますプロジェクト」に協力しております。コロナ禍により販売不振に陥っている生産者を助成するためのプロジェクトですが、当社は売り場を提供し、お客様には割安な価格でご購入いただけることから、大量販売が可能となり、生産者の販売計画を大きく下回った商品の下支えをしております。つまり、生産者にも、お客様にも喜んでいただいております。
 このプロジェクトには養殖ブリから協力をスタートさせましたが、これから年末にかけて、この号で取り上げた「浮瀬ぶり」を筆頭に、本マグロ、フグ等の比較的高価な商品を中心に、同じような企画の商品を提供して参ります。生産者を応援し、また皆様には普段中々召し上がっていただく機会のない魚を口にしていただき、魚の美味しさを再認識していただきたいと思います。

photo:Akira Nakajima Illustration:Marilyn Marine
 
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