8歳の時にハンドボールを始めて以来、25年近くこの競技と関わっています。昨年の「東京2020オリンピック」では、ハンドボールの魅力を少しお伝えできたかなと思いますが、まだまだマイナーなスポーツであることは否めません。そこで2年くらい前から、SNSなどで変顔なども含めた面白い動画や写真をアップし、ハンドボールに興味をもっていただくきっかけになればと、情報発信しています。
 ハンドボールには、動体視力、敏捷性、攻撃性、体幹など、様々な身体能力が要されます。体同士がぶつかる格闘技的な要素もあり、小柄なアジアの選手は不利にも思われますが、細やかで速い動きが得意という点では、十分に勝算はあると思います。
 小学生の頃は休み時間のチャイムの音を聞くと、誰よりも早く校庭でドッチボールを始めていた僕としては、このスポーツと出会えたことは幸運でした。そして健康な体をつくってくれた父と母に感謝しています。フランス人の父はシェフで、現在は母の郷里である千葉県多古町でレストランを営んでおり、食材は常に新鮮なものにこだわっています。
 フランスのクラブチームに6年間所属していた経験から身に染みて思うのは、日本の魚介類は優秀?ということ。天然にしても養殖にしても本当にクオリティが高いです。手を加えなくても美味しいので、今も週に2〜3日は刺身と白いご飯を食べます。料理は父の見様見真似で小さい頃からやっていたので、工夫しながら作るのは大好きです。サーモンはオリーブオイル、タマネギ、ニンニクと焼いてレモンを搾るムニエル風と、ごま油、タマネギと焼いて、最後に醤油と少しマヨネーズを加えるオリエンタル風、両方得意です。ムール貝の酒蒸しも父から教えてもらった料理のひとつです。
 以前、試合で函館に遠征した際、真っ赤なキンキの開きを食べたときは、本当に頬が落ちるかと思いました。白身なのに脂がのりきっていて、北洋の魚の実力を心底知りました。ホッケもそうです。居酒屋では2〜3枚ぺろりと平らげてしまいます。あとは干し貝柱。北海道産は粒が大きい。あれをがじがじやりながら日本酒を飲むのは最高! エンドレスです。
 昨年まで所属していたチームでは、毎年北海道の紋別で夏の強化合宿を行っていました。そうすると地元の方が、魚介類が詰まった大きなケースをいくつも差し入れしてくださるんです。山ほどのホタテやノドグロ、サバ……。それをバーベキューの火で焼いていただく幸せといったらたとえようがありません。昨年はコロナで合宿が行われなかったところ、なんと紋別の方々が、チームのある埼玉へ大量の魚介を送ってくださいました(涙)。
 こうしたエールは本当に励みになります。僕にとって魚との出会いは、大切な家族や応援してくれる方々との温かい思い出と一体になっているのかもしれません。

どい・れみい・あんり◎ハンドボール選手/1989年生まれ。フランス人の父と日本人の母の間にパリで生まれ、4歳から千葉県成田市で育つ。小学3年生でハンドボールを始め、大学時代は日本一を経験。膝の怪我をきっかけに大学卒業と同時にハンドボールを引退するが、語学留学先のフランスで奇跡的に怪我が治り再びハンドボールの世界へ。フランスのトップチームとプロ契約をし、日本人初となるフランスオールスター戦に出場。2019年に日本ハンドボール界に復帰し2020年に「ジークスター東京」へ移籍。日本代表に名を連ね、東京オリンピックでは主将を務めた。ダンス・楽器演奏・マインドフルネスなどあらゆる趣味を持つ。TikTokでは現在350万人のフォロワー(2022年1月時点)を持ち、TikTokクリエイターとしても活躍中。
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【ジークスター東京 試合情報】  2022年2月11/13/18/23/27日/3月5日
※延期や変更になる場合がございます。詳細はこちらより ジークスター東京

Interviewer:Hiroe Nakajima Photo:Miyoko Tamai  Illustration:Escargot Umino
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