この原稿を書いている11月下旬時点では、新型コロナウイルスの状況は大変落ち着いているのですが、新たな変異種が出てきてこれからどうなるのか? 不透明な状況であります。
 そんななかで、様々な物が品不足となり、価格が高騰し、魚も同様です。漁獲、製造の一部を担っている新興国でワクチン接種が進んでおらず供給が少ない一方、アメリカ・中国の経済活動が早めに戻ってきていて需要が増大しており、世界中で供給不足に陥っています。エビなどが最たるものです。タイ・ベトナム・インドネシア等でも、ワクチン接種が進まず、ロックダウンなどで仕事場へ行くことも出来ないため、生産が大きな支障を来たしており、凄い勢いで価格高騰しています。回転寿司では、エビが回らないような事態になりかねません。
 加えて、円安が更に事態を悪化させています。今年1月から10円以上の円安になっており、輸入品はそのまま価格高騰になっています。様々な物が供給不足、円安のダブルパンチで、家計を直撃している状態です。
 一人当たり購買力平価(他国間の物価水準に着目した為替レートの数値で、中長期的な指標となります)GDPランキングで日本は33位に甘んじています。20年前は27位でしたが、この間に台湾、韓国に追い抜かれてしまいました。それだけ日本は、円が弱くなるとともに、実質的な国民の豊かさが下がっているのです。  また、地球温暖化が魚の需給バランスの悪化に拍車をかけています。温暖化により生態系のバランスが崩れ、漁獲場所が変化していることによって、サンマ、スルメイカ、秋鮭等の漁獲量が極端に減っており、季節を感じる魚をいただく機会も少なくなってきています。
 ロシア、アメリカなどでのカニ類の不漁も同様の原因でしょうし、それらによって世界中の人々が大好きなカニを食べる機会が激減してしまっているのです!! デフレ傾向が20年以上続いている日本では、輸入のカニを食べる機会はますます減っていくのだと思われます。
 漁業の就労人口も減り、高齢化している現状では、今後更に魚を食べる機会が減っていく可能性があります。
 多様な状況ではありますが、当社としては、お客様に安定的に美味しい魚料理を召し上がっていただけるような様々な提案を続けてまいります。

 Illustration:Mariné Isono
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