佐藤
中島水産が「越前名水サーモン」に出会ったのは、2024年3月の展示会でした。国内のサーモン需要の急速な成長に際し、冷凍保存ではなくチルド保存が可能な生食用サーモンをずっと探していたので、まさに渡りに船でした。社内の試食会で大勢の者が試食をしたとき、2切れ、3切れ食べてみても「臭さがない!」とざわつきました。
三木
途方もない数のサーモンを比較されているプロの方々に選んでいただけたということが何よりも幸せです。私たちがサーモンの養殖事業に乗り出した2014年当初、生食用のサーモンの消費量は年間約10万トン程と推測してましたが、国内自給率は5%に満たなかったと記憶しています。今後の需要を見越して土地を取得し、養殖場を整え、10年の歳月をかけて現在に至ります。この養殖場は社員一同で磨き上げたひのき舞台なんです。
佐藤
じっくり時間をかけてこられた結果、この素晴らしいサーモンが誕生したということがよく分かります。今年7月1日から本格的に中島水産の店頭で販売しています。寿司ネタとしてもお惣菜としてもサーモンは大人気。もはや日本人の国民食ではないかと思います。その分、品質の差もよく分かるようになってきている。食感や味はもちろん、「越前名水サーモン」は、色の鮮やかさも人気の理由ですね。
三木
餌に、抗酸化作用があり、サプリメントでもおなじみのアスタキサンチンを可能な限り加えています。コストはかかりますが、色味がよくなり、売り場や食卓に彩りが生まれます。日本には見た目の美しさも大事にする食文化があり、お客さまからの要望も多いため、色は重視しています。あとは徹底した掃除、水質管理、魚にストレスが加わっていないかなど、細部に至るまで人間の目でチェックします。
佐藤
日本人は魚を食べる民族としての長い歴史があるぶん、まだ天然モノへの礼賛がありますが、海外ではむしろ養殖モノの方がプライオリティが上がっているんですよね。地球環境の変化に伴い、餌や生育環境など、きちんと安全が確認されている方がいいと。おそらく日本の消費者の固定観念も徐々に外れてくると思います。御社のサーモンが取得しているASC認証の認知度ももっと上げていきたいですね。
三木
外資系のホテルではASC認証のある魚しか扱わないところが増えています。この認証が示す「持続可能な養殖場」というのは、魚の環境だけでなく、従事している人間の労働環境にも及びます。毎年厳しい検査を受け、合格しなければ認証は更新されません。もしアクシデントがあれば、それは必ず報告しなければならず、隠蔽や不正は絶対にできない。それだけに信頼性の高い認証なんです。
佐藤
しかし「越前名水サーモン」の養殖事業は、地場産業としてもすごく光があるというか、今後この仕事に携わる若い方にとっても、すごく希望があるように思います。
三木
ありがとうございます。地元の雇用を積極的に行いたいです。それと今、弊社社員が地元の小・中学生を対象に、サーモンが水揚げされるまでの工程や、生産者の苦労話、この土地がもたらしてくれる環境への感謝など、この養殖に関する課外授業なども行っております。
佐藤
美しい水と素晴らしい環境、そして生産者の方々の情熱、そうした付加価値のある越前名水サーモンを、最大限消費者に伝えていくのが、私たちの使命だと思っています。今後ともご協力をよろしくお願いいたします。本日はありがとうございました。