ただでさえ1年のうちほぼ300日は風速10m以上の風が吹き、 荒波で有名なえりも町。歌でも有名な襟裳岬があるところです。
日高昆布や真つぶの産地として有名なえりもの海では、 11月半ばよりカレイの王様・ナメタカレイ漁が始まります。
地元ではグロテスクな姿形を表し「ババカレイ」と呼ばれますが、 口に含めば関係なし! 脂がのっていて味わい深い珍重品です。
この時期しか味わうことのできない天然のナメタカレイ。
ぜひご賞味あれ。


歌でも有名な襟裳岬。ゼニガタアザラシの生息地としても知られています。岬を境に南側は白波立つほど荒く、東側は穏やかな海となっています。

夕焼けに染まるえりも漁港
ナメタカレイの漁は11月中旬よりはじまり12月末までの短い期間が勝負です。
通常は夜9時頃に出漁し、翌日の昼頃に港に戻ってきて水揚げします。
漁場までは2時間前後、20海里(約30km)ほどの沖合。その漁域に網を仕掛けて漁獲します。
漁法は刺し網漁。網を垂直に海に落とし、そこにカレイがかかるのを待って引き上げる方法(イラスト参照)。網目はある程度大きさを限定し、小さいものは揚げないようにしています。追いかけて漁をする(例えばサンマ等)わけではないので、その網をどこに落とすかは船頭の長年の経験に頼るしかありません。
ここえりもは、安全のため集団操業をして出漁しますが、漁場は各船個々であり、毎年決められ割り振られています。多いときは1隻トン単位で水揚げがあり、冬のナメタカレイは子持ちでほんとうにおいしい時期。
捕獲されたナメタカレイは港で水揚げされ、サイズ別5種に分けられます。中島水産に届くナメタカレイは一番大きいサイズの全長39cm以上のもののみ。1枚2〜3kgするものもいるそうです。
午前8時に魚が並び、9時に入札。仲買人が箱詰めをし都市圏に送られていきます。
ナメタカレイ漁に向かう第八十一平安丸。大きさ9.7トン。最新鋭の機材を搭載し、その他の漁にも対応しています。
魚の通過する場所を狙って垂直に網を落とし絡ませる刺し網漁法で、ナメタカレイを漁獲します。

朝に入札した仲買人が、サイズを分けて計量し、箱詰めして出荷します。

これが中島水産に届く大サイズのナメタカレイ。プロに聞いたところ、おいしいナメタカレイの見分け方は、もちろんヌメヌメしている方がよく、背側の表面が白っぽくて、赤みがかっていない方がよりいいそうです。あと身は厚ければ厚いほど美味だとか。

気持ち悪いほどヌメヌメしていますが、これが旨さの秘訣。ナメタカレイは漢字で書くと「滑多鰈」。つまりカレイの中でも滑りがきつい。しかしこの滑りは旨味につながるのです。だからヌメヌメしているほど美味で、これは魚自身が自分で鮮度を保っている証拠。
 

食べ方としては基本、煮つけが主です。それは脂がよくのっているから。でもいま、そのイメージを変え、「刺身」を押していこうと企んでいます。しかし鮮度がよくないとそのおいしさは味わえないので、その味わいを全国で享受してもらうためにも漁協としては活〆の取り組みを考えています。


撮影=菊池陽一郎
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